シネマ歌舞伎に誘われて


シネマ歌舞伎 | 松竹
お誘いをいただき、「シネマ歌舞伎」なるものに足を運んだ。この日に観たのは、英語字幕付き、坂東玉三郎演じる「鷺娘」。とにかく映像が美しくて、ダイナミズムにあふれていて、普通に劇場に行くのとはまた違った楽しみ方ができるように思う。
この日は、普段は歌舞伎をテーマに論文を執筆し、現在はイヤホンガイドの解説員もなさりつつ、ご自身で仕舞もなさるという日系二世のマーク・大島氏が解説役に入り、シネマ歌舞伎の魅力なども語ってくださった。ただ松竹の担当者の言ったことを通訳するのではなく、ご自身が専門家で、シネマ歌舞伎の字幕にも携わったりしているからこそ語れることがたくさんあったような。
大島氏曰く、「歌舞伎はリアルとアンリアルのぶつかり合い」。一般的に英語字幕を付ける難しさはよくいわれるが、こと歌舞伎を少ない文字数で字幕解説するのは、さらに難しそう…というのがよくわかった。たとえば、鷺娘で、玉三郎が途中で衣装の肩部分を割き、怪我を表現するところなどは、字幕表現は難しいだろう。気が付く人は気が付くし、気が付かない人は気が付かない些細なことだ。イヤホンガイドで解説は付けられても、字幕では難しい。
それでも、この演劇から理解に必要なエッセンスをきちんと取り上げて英語で字幕を付けることで、なかなか歌舞伎を観る機会を得られない、とくに海外の方にも楽しんでもらえる、新たな歌舞伎の姿が生まれるのかも。
これからも続々リリースされるようなので、また機会を見つけて行ってみようかな。