ジャカルタのWayang Museum その①

Museum Wayang Indonesia
「ジャカルタ市内観光の際にはここがオススメ」なんていわれて、ワヤンミュージアムに行ってみた。ワヤンとは、インドネシアの影絵芝居に使う人形のことだが、これらを展示した、オールドジャカルタ地区はファタヒラ(Fatahilah)広場のすぐそばにある、私設美術館である。オランダ統治時代の教会を改造して使用しているとか。
入場料は2,000rph日本円にして20円とか30円くらいだったと記憶しているが、名前と国名を記帳したら、すぐに男の人がとんできた。この人は、実際にワヤンを作る職人さんで、名前(というか愛称)をダニエルだという。何でも、日本と米国からは支援金をたくさんもらっているので、案内をするといってくれた。

というわけで、広い美術館にある膨大な数の人形たちをひたすら説明してくれるダニエルであった。影絵という印象があるこのワヤン群だが、もともとは影絵じゃなかったという説もあり、だから両面とも美しい彩色が施されているらしい。

水牛の革をこつこつと掘り進め、彩色すれば、ワヤン一体が完成するが、膨大な時間がかかる上に、上映が決まったらその都度制作するといっていた。しかも、上映も自分でやってしまうようだ。その上映はときに一晩中歌いながら、飲まず食わずで何十体もあるワヤンを動かすらしい。でも、上映前に断食をするから、集中力が続くのだとダニエルは言っていた。

このミュージアムの2Fには、ダニエルの作業所兼上映場があって、日曜日には影絵の無料上映会をやっているらしいが、特別に一幕みせていただいた。改めてみてみると、人形遣い(っていうのかな)は、ストーリーに合わせて歌いながら、一人で何人分もの台詞を語り、ものすごく声を張り上げるのだ。これを一晩中やっていたら、声がつぶれてしまいそう。イメージ的には、百人一首に出てくる琵琶法師の蝉丸っぽい感じなのかな。
人形を白い幕から離したり近付けたりして、登場人物の入退場を表現したり、場面転換時に使用する扇も、ある時は物語で必要なオブジェとして登場したりして、解説のおかげで興味深く楽しむことができたのであった。