ジャカルタのWayang Museum その② 珍し系ワヤンが続々登場。


それにしてもこの美術館、ほんと、某大な収蔵量である。ダニエルはその祖先もずーっと人形職人だったらしく、彼らが上映した都度作っているものが全部展示されているからこうなるんだろう。
変わり種は、このあたり。
海外の首脳陣とインドネシアの英雄とか。

英雄サイドは、バンダナ巻いているのがスルタン・マフムッド・バダルディン2世(Sultan Mahmud Badaruddin II)で、手前はだれだろう。グスティ・ングラライ将軍(I Gusti Ngurah Rai)? 想像だけれども。名前忘れちゃったよ。いずれ、風刺のきいた劇をやったに違いない。
あとは、インドネシアの子供に人気のアニメUNYIL(ウニル)のワヤンも。道徳っぽいストーリーで、子供たちにマナーを教えたりするらしい。海賊みたいなバンダナをまいた、主人公ウニルのおじいさんが、素敵。

アダムとイブ。アダムの胸毛が、ラーマ王子のある場面の髪型とニアリーイコールなのが気になった。

中国人の召使? インドネシアも中国の影響をたくさん受けた国だからか。ちなみに、影絵劇を彩るガムラン音楽部隊は、ときにものすごい規模になるらしい。すごいよなぁ。どんな爆音になるのか。

そして、最後の珍し系は、二人ッ子政策を進めるためのワヤンだ。「多くの子供は自分の幸福」と信じてやまない夫婦をに、家族計画をするように訴えるこのワヤンをつかった上演会は、ジョグジャカルタで大成功を収めたらしい。その後ダニエルは国連だか何かと契約し、アフリカ大陸でもこのワヤンを使って家族計画の大切さを説いたらしい。ワヤンなんてラーマヤナだけだと思っていたが、あれはほんの一部にすぎない。政治的風刺劇なんかもたくさん演じているわけで、本当に奥深い世界なんだなぁ。

ちなみにこの博物館、終点はお土産物屋さんだ。この国の物価から考えて(というか日本で考えても)信じられないような値段の工芸品をたくさん売っている。値札もないが、値引き交渉できる感じでもない。これが、「私設」博物館の収入源となるのだろう。道理でダニエルが案内に熱心だったわけだ。
ダニエルによれば、ここで買えるワヤンは高級なので100年経っても色あせないという。後に骨董品屋さんでみたワヤンはかなり色あせていたが、ダニエルのいうことは本当だろうか。確かめる術はないけれど、ダニエルの熱弁に敬意を表し、買い物をしたのであった。