ニューヨーク散歩

ニューヨーク散歩―街道をゆく〈39〉 (朝日文芸文庫)

ニューヨーク散歩―街道をゆく〈39〉 (朝日文芸文庫)


お馴染み街道を行くシリーズである。私は旅行の目的地が街道を行くシリーズに含まれている場合、読むようにしているのだ。
本シリーズ、日本は網羅されているが、海外はそんなに多くはない。そんななかで、唯一米国の都市を扱っているのが、この本だ。
冒頭部分こそ、ニューヨークの風景がよく描かれているが、読後感としては、ニューヨークの街並みというよりは、ニューヨーク在住だったり、ニューヨークにある大学を出て、日本とかかわってきた人々の話が中心になる。代表的なところで、震災後に日本国籍を取得し、日本永住を決めた、日本文学者ドナルド・キーン氏とか、コロンビア大学でキーン氏に日本文学を教えたという角田柳作氏、また、同じコロンビア大学にて中世文学研究所の所長を務められたバーバラ・ルーシュ氏など。
また、伊豆の下田でよく耳にする「唐人お吉」の話も、日米通商条約の立役者タウンゼント・ハリスにからめて書かれていた。これも、彼がNY育ちで、そのお墓もブルックリンのグリーンウッド共同墓地に納められているためだ。
個人的に興味があるのは、橋の話。川田忠樹氏の「ニューヨーク ブルックリンの橋」という著書。あとは、ブルックリン橋を考案したジョン・ローブリングJohn Roeblingという人による「橋をかけたひとびと」という本かな。自分へのリマインドとして。