
イスタンブールを愛した人々―エピソードで綴る激動のトルコ (中公新書)
- 作者: 松谷浩尚
- 出版社/メーカー: 中央公論社
- 発売日: 1998/03
- メディア: 新書
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通算12年の間、在トルコ日本国大使館および領事館に勤務した著者が、トルコとかかわりのある人々を通じてトルコ近現代史をつづったもの。
「トロイの木馬」で有名なシュリーマンは、まあかかわりが容易にわかるけれども、ナイチンゲールが実はイスタンブールで看護活動を行ったことや、トロツキーや建築家のブルノ・タウトがイスタンブールに亡命していたこと、アガサ・クリスティがイスタンブールの最高級ホテル「ベラ・パラス」に宿泊して「オリエント急行殺人事件」など、中東を題材にした作品を構想したことなど、思いもよらぬ人がトルコと関係していて、歴史にかかわっていることがわかり、勉強になった。
ちなみに日本人は、山田寅次郎、乃木希典、大谷光瑞、芦田均、橋本筋五郎が挙げられていた。トルコを訪問してその様子を日記等に書き記している人もいれば、真実味があるとはいえない武勇伝が残っている人もおりさまざまだが、和歌山県串本沖で遭難したエルトゥールル号の遭難義捐金を持ってトルコに渡り、その後20年間もかの地に滞在して日トのかけ橋となった山田寅次郎は間違いなく「イスタンブールを愛した人々」の筆頭なのではないかと思った。
ちなみに、本書の余談で映画「トプカピ」というのが紹介されていた。何でも、トプカプ(実際の読み方はこちらに近い)宮殿に財宝がたくさんあることを世界に知らしめた映画、らしい。トレイラー(Jules Dassin監督)はこれ。コメディみたいだ。タイトルのフォントがお洒落だ。