マヌーシュ・ジャズの発展形とは? ジャンゴを敬愛するバンドFARALAE (from Mexico)

EU圏内はともかく、メキシコのようにマリアッチのような伝統音楽はもちろんロック・メヒカーノやチカーノ・ラップ、それにラテン全般に流行る音楽も流通しているような国でもマヌーシュ・ジャズに魅せられている人がいると知ると、それだけでときめいてしまう。
彼らの名前は"FARALAE"ファララエ、と二番目の"ラ"に重点をおいて発音するらしい。グループ名は、すごく目立つ飾り(un adorno muy llamativo)が由来で、「自分たちの音楽も注目を浴びたい」という思いが込められているそうな。
ちなみにすごく目立つ飾りって何だろう…と、マリアッチ演奏者や派手なカウボーイが着ているフリル付きのブラウスなど思い浮かべつつ「画像検索」をしたら、フラメンコのドレスが出てきた。なるほど、そういう系統のものか…。
さて、そんなFARALAEは、その時々によって色々な編成を組んでいるようだが、オリジナルメンバーはこの3人みたいだ。
Alejandro Martinez Gil(g)/Rafael Zermeño(g)/Liliana Bunedar(vo.)
とにかく、ジャンゴ・ラインハルトの魅せられて、そのサウンドをベースにボサノヴァだのタンゴだの、あらゆる音楽を融合して自己流にしたのが、FARALAEの音楽、のようだ。ちなみに、公式Webサイトに、影響を受けた人リストがあった。
DJANGO REINHARDT/STEPHANE GRAPELLi/JOE PASS/MARTIN TAYLOR/BRIAN SETZER/BIRELLI LAGRENE/ELLA FITZGERALD/TUCK & PATTY/BUCKY AND JOHN PIZZARELLI
多少マヌーシュ・ジャズ色が濃いものの、多岐にわたっているのではないか。このリストのトップにメキシコのグループらしいLOS HERMANOS MARTINEZ GILの名前を見つけたのだが、ギタリストのAlejandroはこのメンバーの人にギターの手ほどきを受けたようだ。
たとえば、「マヌーシュ・ジャズ」を謳っているのにレパートリーにジャンゴの曲が1曲くらいしかなかったり、リズムギターがなくてドラムで拍子をとっていたりするバンドをみてたまにガッカリしたりすることがあるのだが、FARALAEの音楽は、いわゆるマヌーシュ・ジャズのお作法に必ずしも則っていない場合でも、これはこれで魅力を感じる。オリジナル曲もなかなかいい感じだし、これは進化を期待できそうだ。