- 作者: 宮本常一
- 出版社/メーカー: 岩波書店
- 発売日: 1984/05/16
- メディア: 文庫
- 購入: 49人 クリック: 366回
- この商品を含むブログ (204件) を見る
以前、佐野眞一氏の著書を読んで以来、ずっと読みたかった本だった。
宮本常一が見た日本(佐野眞一) - 空間Annex
宮本常一が全国の田舎町をくまなく歩いて採取してきた老人たちの談話を書き留めたもの。
寄合と呼ばれる村の合議の様子や、女同士の世界、子さがしの逸話、今でいう不倫、タヌキやキツネなどの言い伝えにおおらかな男女関係、そして、自身の道しるべでもあったおじい様の話。
談話では、村の人たちの保守的なさまや、近隣を気遣ってひそかに行ういろいろな行動などが明らかになって、あたたかい気持ちになる。ときにほろっと感動する。人への気遣いがこれ見よがしでないところが、何とも古き良き日本だと思う。
そもそもよそ者が辺境のコミュニティでよくここまで溶け込んで話をひっぱってきたなぁと純粋に驚く。でも、これこそ、宮本の人柄がなせる業なんだろうな。