殉教・微笑(小島信夫)

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きっと小島信夫作品は教科書には掲載しにくいであろう。でもとてもシニカルで奇想天外で面白い。
この本には、そんな小島の短編が9作品おさめられている。
「小銃」からして、銃身に女、しかも年上の女を感じるという描写に度胆を抜かれ、「吃音学院」では、吃音もちの男がそのどもりを矯正するために入った学校での出会いが面白く、既読の「アメリカン・スクール」も、終戦直後という時代背景のなか、英語教師たちがアメリカンスクールの授業見学に行くというだけの話なのに、そのなかに織り込まれている人間模様に夢中になった。
いずれの話も小島自身の体験を含んでいるというが、読めば読むほど理解が深まる、よい短編集だと思った。