スウィング・ジャパン 日系米軍ジミー・アラキと占領の記憶


第二次世界大戦中の米国における日系二世の収容施設移送問題は、前々から興味のあるところである。これに「ジャズ」らしき単語が付いていたら、もう買うしかないだろう。
これは、ジミー荒木という、日系二世の物語だ。ジミーは、勉学はもちろんだが、楽器演奏にもアレンジにも長けていた。ニセイ・リンギスト、つまり語学兵として訓練され活躍したが、占領期の日本駐在中に日本人にジャズのビバップの演奏手法を伝授した人として、ジャズ界の人には知られた存在らしい。ナベサダさんやジョージ川口さん、日野皓正さんなど、有名なジャズミュージシャンとの共演歴も多々あるらしく、油井正一さんの本からの引用がたくさん出てきたのが印象的だった。
こんなにジャズの才能に満ちたジミーだが、兵役を引退した後は日本の中世文学の研究者として活躍、幸若舞の研究者としても成果を残しているらしい。幸若舞を知らなかったので、思わず動画サイトで確認してしまった。

地震や原発に関する引用がいくつかあったが、半端な引用が陳腐にみえてしまうほど、ジミーの半生はそれだけでドキュメンタリーとなりうる内容だった。日系人収容所問題となると、その舞台は「不忠誠組」の隔離収容所だったツールレイクや現在も見学コースがあるマンザナーあたりと決まっているが、ヒラリバーの話は珍しいのではないか。また、ここに描かれている収容所の暮らしは、私の日系人のおばが語る内容と似通っている。つまり、「いろいろあったが、そこまでつらい暮らしを送っていたわけではなかった」ということだ。
第二次世界大戦中、日本人や日系人が強制収容されていた「マンザナー強制収容所」 - DNA
参考文献リストが膨大なので、ぜひそこから新たな日系人関連本を探ってみたいと思う。