- 作者: 関容子
- 出版社/メーカー: 文藝春秋
- 発売日: 2007/01/10
- メディア: 文庫
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成田屋親子三代を中心に、歌舞伎界のさまざまなエピソードについてつづった本。鎌倉円覚寺での禅修行の話、華やかだった11代目團十郎(本の中では海老さま、とつづられる)や片岡我童その他女性たちとの話、芸事の話、成田屋を支える女性がどうしても男性中心になってしまう立場にある一方で、市川ぼたん(三代目)のように日本舞踊市川流の踊り手として活躍している話など。名優たち同志の絆がある一方で、確執話も事欠かない。
四代目市川升蔵の話が面白かった。なんでも11代目を怒らせて破門され、名跡返上したらしい。市川の隣にあるとして「利根川」、團十郎に対抗して「金十郎」と名乗り、名前の上で洒落っぽく皮肉ってみせている。
マスコミを何かと騒がせる11代目海老蔵の、神経質で芸に細かく、生まれながらにしての役者気質のようなものもよく伝わる、おもしろい本だった。