THIS IS ENGLAND

THIS IS ENGLAND [DVD]

（2006年、イギリス、シェーン・メドウズShane Meadows監督）
舞台は1980年代、サッチャ−政権下の英国。見るからに労働者階級が暮らすことがわかるある街。フォークランド紛争（フォークランド諸島の領有権を巡る、英国とアルゼンチンの戦い）で父親を亡くした11歳のショーンは、ふとしたことから自分を慰めてくれた年上のウディが率いるスキンヘッズのファッションを楽しんでいるギャンググループを通じて、国民戦線党員かつ出所したばかりのコンボに出会う。極右思想にあこがれたショーンは、ウディから離れてコンボに寄り添って行き、外国人排斥の行動に出る。パキスタン移民の経営する雑貨店に押し入ったり、スプレーで壁に落書きをしたり。（もっとも、移民の悪口ではなく、ショーンは自分の名前を壁に書いていたけれど）。
ところが、極右思想は実は自分たちの仲間であるジャマイカ系移民のミルキーの存在と両立できない。ある事件をきっかけに、ショーンは考えを改めるのだった。
ケン・ローチ映画などで見慣れている英国労働者階級よりも、もう少しコメディタッチで魅せてくれるのかと思いきや、そこに広がるのはやはり救いようのない、もう未来が決まってしまっているかのような、希望がみえない世界だという印象。自分たちのあまりに不幸な暮らしをみるにつけ、頑張って異国の地で暮らしてそれなりの成功を収めた移民たちが妬ましく思えるのは、やはり仕方がないことなのか。

ちなみに、この映画はテレビシリーズで続編になっているらしい。出演者たちはその後の人生をどう歩んでいくのか、見てみたい。
This Is England - Channel 4