ロマーヌ+ストーケロ= "Gypsy Guitar Masters"のドキュメンタリー

ジプシーギターマスターズとは、ロマーヌRomaneとストーケロ・ローゼンバーグStochelo Rosenbergが2006年に出したアルバムのタイトルだ。
f:id:asquita:20130804101948j:plain
こちらの作品、モンペリエのオペラ・コメディL'Opera Comedie de Montpellier、(要はオペラ座?)にて収録されたライブアルバムのようなのだが、CDに加えてDVDも付いている。Amazonでみると1万6,000円前後のお値段で入手困難なもののようだが、YouTubeにアップされていたので、ドキュメンタリーの方をみてしまった。

内容は、二人がマヌーシュ・ジャズギターや楽器に出会ったきっかけ、作曲の方法、そしてジャンゴ・ラインハルトの影響の大きさ等をそれぞれが語る、というようなもの。二人の会話とインタビューを通じて、ストーケロとロマーヌの友情の堅さ、信頼の強さ、そして互いの魅力がよくわかる。キャラクター的には、ストーケロの方が用意周到で、3カ月前からセットリストを考えるようなところがあり、ロマーヌの方が行き当たりばったりタイプらしい。ロマーヌは、自身のことを"Italo-breton(イタリア系ブルターニュ)"と表現していたが、ストーケロにいわせると、「親戚の中には、ロマーヌがマヌーシュ系だと勘違いしている人すらいる。ロマーヌはとてもマヌーシュ的だ」と。
ただひとつだけはっとさせられたこと。それは、二人でヒゲの話についてジョークを言い合っている時だ。ロマーヌの一言だ。「ストーケロは、(その出自がれっきとしたマヌーシュであることから)、自分のアイデンティティを証明するjustifierする必要はない。自分は、アイデンティティを証明する必要があるのだ」。
それがロマーヌの髭の意味、なんですね。(すごく感銘を受けたのに、文章化すると大したことなくみえるな…)。
ロマーヌは、演奏家・作曲家としてはもちろん、この音楽を感覚的に学ぶものから、理論的に学べるものにした、という点でもこの音楽の発展に貢献していると思う。ロマーヌの一家も、親子4世代にわたってギタリストだ。今やすっかり活躍中の息子、リシャール・マネッティRichard Manettiが小さい頃の、ギター練習風景が印象的だった。
ちなみに、二人のライブの模様もアップされている。