海角七号 君想う、国境の南

海角七号/君想う、国境の南 [DVD]

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2008年、台湾、魏徳聖(サミュエル・ウェイ)監督

ミュージシャンになる夢をあきらめ。台北から故郷に戻ってきた阿嘉は、地元の有力者である父親の手引きで、郵便配達の仕事をはじめる。
もう一人の主人公、友子は、モデルの仕事で台湾にいたところ、日本の有名歌手の前座バンド探しを任された。ところが、「地元振興」を盾に、地元でバンドを探すことになった友子は、オーディションでメンバーを募る。その結果集まってきた年齢もバックグラウンドもそして実力もバラバラの6人は、はたして立派に前座を果たすことができるのか。
このバンド結成劇を軸に、「海角七号」という今は存在しない住所に宛てられた、終戦直後に台湾を離れた日本人が、かつての恋人だったと思われる台湾在住の「小島友子さん」に送った手紙の束が入った小包の中身も語られていく。
シリアスかと思いきや、時にコメディ。個人的には登場人物の日本語の使い方がちょっと粗野だったりして、気になってしまった。言葉遣いが不自然というか、仕事でもたとえ酔っぱらったとしても、怒りなり苛立ちをこういうふうに表現する人は現実的になかなかいないでしょう、という違和感。一方で、後半、中孝介(そう、日本の有名歌手とは中さんでした)の前座ライブで、6人が結束して行う演奏は本当に素晴らしい。阿嘉の作ったという「海角七号」というバラード曲でぞくぞくっとしたし、アンコールで苦し紛れ?に月琴奏者のおじいさんがきっかけを出して演奏した「野ばら」も素晴らしかった。

ところで、舞台となった台南の恒春というところはルカイ族、という台湾原住民が多く住む町みたいだ。もしや、この映画の音楽も、原住民音楽に影響を受けているのではないかと思ってみたものの、よくわからなかった。

一度、台湾の原住民文化が濃いエリアに行ってみたいものだ。