リーダーシップの旅 見えないものを見る(野田智義、金井壽宏)

リーダーシップの旅  見えないものを見る (光文社新書)

リーダーシップの旅 見えないものを見る (光文社新書)

最近仕事上でもリーダーシップ論について語られることが多く、この本を読んでみた次第。たまたま聴いた某氏のレクチャーでは「今日の延長に道を定め、みんなをひっぱっていくのがリーダー」「リーダーは不撓不屈であるべし」「リーダーは諸々を判断して行動に移すもの。その答えを瞬時に出すために、たくさんの答えのストックを持っておくのがよい」「夢なんて語ったらダメ。まずなんでも行動をして壁にぶつかり続ける。あきらめるときに道が開ける、腹もくくれる」「リーダーは首尾一貫などしなくてもよい。朝令暮改をモットーに、フォローしつつもどんんどん方針を変えていけ」なんていうことを知ったばかり。
一方この本では、

  • リーダーとは、生まれつきではない
  • リーダーがフォロワーを動かすことで、フォロワーの存在がリーダーに影響する
  • 夢と志の原型のようなもの、が必要。リーダーシップは生き様
  • 見えないものをみてそれにひかれて先頭を切って歩いていくのがリーダー
  • リーダーは基軸力が大切。(要はぶれるな、ということ)
  • 個の論理ではなく組織や世間の論理で動く「幻想エリート」はNG
  • 戦略的思考やコミュニケーションスキルよりの前に魅力的な人間であることが重要。これにより、フォロワーの協力を可能にする
  • 構想力、実現力、意志力、基軸力

とかこんなことが目についた。「幻想エリート批判」をしつつも、著者自身がまったく幻想エリートから抜け出せていないようなきらいがあったけれど…(経済界の重鎮たちが自分の知り合いだったり、自分が大きな組織にいたということを頻繁にmentionすることなく、リーダーシップの本質について説明はできなかったのか、とつい気になってしまった)ただ、表現方法は違えども、言いたいことはだいたい似ているのではないか。そして、「だれもが構想と実行意志を持てばリーダーになれる」ということがよく伝わった。
この本では、リーダーシップについて旅になぞらえて整理されて語られているのだろうが、二人の掛け合いエッセイでそれを説明するのって、きっとけっこう難しいものなのだろう。実務に役立つ本、というよりは、リーダーとしての心の持ちようを説くような感じ…だろうか。