トーク・トゥ・ハー


Hable con ella, 2002年、ペドロ・アルモドバル監督、スペイン

2人の男マルコとベニグノ。昏睡状態に陥った愛しい女性を看病するなかで出会った二人が、徐々に友情を深めていく様子が描かれる。バレリーナの卵?だったアリシアとベニグノ、そして、女闘牛士にして国民に恋の行方が知られてしまっているリディアとマルコ。前者の恋は多少のいびつさを帯びているが、無償の愛と情熱がある。一方のマルコ、そのきっかけで恋に落ちるか…とも思うが、これまた色々ある。
ある事件が起こった晩の描写がすばらしい。そして、本物のピナ・バウシュ(これは、映画を観終わってから知ったのだが)、そしてカエターノ・ヴェローソCaetano Velosoが出てくるシーンが素敵だ。贅沢すぎるプライベートライブで、カエターノが歌ってくれるというもの。実は、この曲のちょっと前のシーンにPor Toda a Minha Vidaが出てきて、「スペイン映画なのになぜボサノヴァ?」と思っていたところだったのに、カエターノが出てきてすぐピンときた。もっとも、ここのカエターノの歌はスペイン語だけれども。

"ククルクク・パロマ Cucurrucucu paloma"はメキシコの民族舞踊音楽らしい。やさしいメロディだけれども、歌詞は恐ろしく情熱的だ。女を思って鳩になってしまった男が、彼女を思って鳴き続ける、というイメージか。「ようこそここへ クック クック わたしの青い鳥~」ってな歌があってけれども、ここの歌詞の「ククルクク」はちょっと訳が違う。思いが違う。男がそれぞれ…いや、とくにベニグノがアリシアに持つ思いは、この歌に象徴されるに違いない。
それにしても、期待していないところで思わぬ出会いがあるっていい気分です。