くちづけ

堤幸彦監督、2013年、日本

映画館で予告編を観て気になっていた映画をやっと観ることができた。
舞台は知的障碍者の自立支援施設である「ひまわり園」だ。ある地方都市にあり、古いながらも素敵な庭がある。そこに引っ越してきたのは、マコとその父親である漫画家のいっぽん。いっぽんは、マコが生まれてきたこと、そして奥様を亡くしたことで、漫画の執筆をやめてマコを育てていたのだが、ある理由からマコを施設に入れることを決める。大人の男性が苦手なマコだが、施設にいるうーたんをはじめとした仲間と打ち解けていくのだが…。
健常者が障碍のある人を演じることに抵抗を感じることがあるが、この映画は不思議とすぐになじんで観ることができた。決して暗い映画ではなく、「このシーンいるの?」というようなところもあるが、泣けるシーンがたくさんある。マコの運命や、うーたんのお姉さんである智子に起こった出来事、そしていっぽんの想いなどがとても響くのだ。同時に、福祉制度や軽度の障碍を持った家族の抱える問題点などにも軽く触れている。
もともとは、映画で「うーたん」を演じた宅間孝行氏の舞台作品だったそうだ。舞台も一度観てみたいものだ。