ヤン・リーピン 「孔雀」


友達に誘われて、Bunkamuraオーチャードホールの公演を観に行った。ヤン・リーピンYan Li-Ping雲南省昆明というところの出身地で、ここは元来少数民族がたくさん住む場所でもあるらしいのだ。彼女の白族の出身。もともと孔雀の舞というのは彼女のレパートリーだという。
お話は美しい孔雀のカップルを前にしたカラスが、それをねたんでサドゥというメスの孔雀をカゴに閉じ込める。オスの孔雀であるガヤは、カラスのルーバンと取引を持ちかけられるが…。とまあそんな話が神様や時間とともに春夏秋冬の中で表現される。
本当は全編生演奏だともっと良かったなぁという気持ちがありつつも、やはりヤン・リーピンの踊りは素晴らしかった。孔雀の美しさの表現、2人の仲睦まじさの表現、そして、鳥たちの鳴き声までも自分たちで演奏するのだ。手先が醸すニュアンスが素晴らしかった。
もうひとつ気になった陰の主役が、「時の流れ」を表現する踊りだ。舞台の片隅で、休憩時間も含む2時間半、ずっとまわり続けるのだ。ときに腕の角度や回転の速度を微妙に変えながら…ちょっとトルコのメブラーナ教のセマーを彷彿とさせる。あまりの美しい旋回に、一瞬機械仕掛けの人形を疑ったくらいだ。

休憩時間と舞台挨拶のみ撮影OKとなっていたため、とくに時を表現する回転女性の写真を撮る人が目立ったし、舞台挨拶では、ヤン・リーピンと同じくらい盛大な拍手がわきおこっていた。当然だろう。うん。
ちなみにこの回転女性は、まだ10代の、ヤン・リーピンの姪っ子とのことだ。恐るべし踊り子一族といえよう。
ヤン・リーピンの「シャングリラ」「クラナゾ」も一度観てみたいものです。さぞ美しいんだろうなぁ…。

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