ある英国人が仕事でパリに来る、美しきパリは決して天国ではなかった…彼はどうやってパリを生きるのか。9月にはじまり5月で終わる、パリの日常を書いた本。
同じ英国人の書いたフランス本「南仏プロヴァンスの12カ月」とは大違い、しかも皮肉のオンパレードだ。(だいたい、12か月、あるいは1年とタイトルでいっておきながら、実際は9月~5月で終わっているところがすでに皮肉ではないか。6月~8月のパリなんて、ヴァカンスシーズンでまったく機能しないから、もうカウントしない、という感じか)
パリ、あるいはフランス語の少し混乱するようなこととかも記されているのは、住んでいた経験のある人ならではのこと。カフェオレじゃ通用しない、コーヒーの注文のしかたとか、不動産情報の見方とか。それに、道に落ちている例のものはもちろん、窓口のたらいまわしのような、素敵ではない経験がたくさん書かれている。これぞパリ。パリを知る人が共感できる、そして笑える本だと思う。フランス人の話す英語を日本語に翻訳しているのだが、その表現がまた秀逸。何度も読んでしまう、お気に入りの本だ。