ある飲み屋さんで、ラベルを見つけて一目ぼれして飲んだワインがある。それがこの、"Le Temps des Gitans(ル・トン・デ・ジタン)"だ。このラベル、明らかにギターが強調されているし、マヌーシュジャズを彷彿とさせるんだもの。
後日調べてみたところ、南仏のラングドック地方にある家族経営のワイナリー、Mas de Janiny(マス・フォゥ・ジャニーニ)のジュリアン兄弟(Pascale et Thierry) が作った有機ワインのひとつだそうだ。なんでも、ジュリアン兄弟の友人がパリのジプシージャズフェスティバルのためにワインを作ってほしいと頼まれ、風刺画家のカブCabu氏にラベルデザインを依頼してできたものだとは、ある英語の情報サイトでの説明だ。
カブといえば…まさに今年1月にテロの惨劇があった、フランスの週刊紙シャルリ・エブドCharlie Hebdoの共同経営者の1人ではないか。そしてお亡くなりになったんだよな…。そんなワインに今年出逢うとは何たる奇遇。もともとのワインは「ジタンの音楽の聴きながら飲むのにふさわしいお祝いワイン」というコンセプトみたいなので、今度は家でボトルを買って飲んでみようかな。
ちなみに、あとでMas de Janinyのオフィシャルサイトを調べてみところ、Cabu作の絵というのは本当だが、ジプシージャズフェス用という点については確認が取れなかった。ただし、パスカル兄弟のうちティエリーThierryはマヌーシュジャズの大ファンで、このマヌーシュ・ジャズにふさわしいのような、ちょっと軽くてうきうきさせるような、そしてちょっと意外な感じのワインを作りたかったとか!
私が飲んだのは赤だったが、白もロゼもあるようだ。
Mas de Janiny - Le temps des Gitans Rouge
"Le Temps des Gitans"といえば、クストリッツァの「ジプシーのとき」という映画のフランス語タイトルでもある。
たまたま見かけたワインのラベルから広がる世界に、それだけで楽しい気分になった1日。