- 作者: 石原慎太郎
- 出版社/メーカー: 幻冬舎
- 発売日: 2016/01/22
- メディア: 単行本
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あの田中角栄のことを、政敵?でもあった石原慎太郎が書いた。しかも「俺」という一人称を用いて…。
新潟県柏崎市に1918年5月4日に生まれた田中の生い立ちは、波瀾万丈だ。馬に明け暮れた父親、本人のドモリのくせ、兵役、結婚、工事現場の仕事、映画への愛着、日中国境正常化に向けた交渉、要人との会話、ロッキード事件…彼を取り巻く出来事が浅いながら生々しく描かれていた。
田中は逝去した後、ロッキード事件の5億円収賄で有罪が確定しているのだが、石原はこの点においては「アメリカのメジャーに頼らぬ資源外交を展開した結果、アメリカの逆鱗に触れた結果の、アメリカの陰謀によるもの」として無罪と考えており、その考えをこの独白調の小説に込めている。いずれ、田中氏の周辺で起こった出来事は、30冊はある田中角栄関連の本から読み解くほうが面白そうだ。田中角栄の人生全般を知るためには、いい本だと思うが。
ちなみに私は、長年田中の秘書であり「越山会」も仕切っていたという、佐藤昭子関連の著書と、やはり田中の子を産んだとされる神楽坂の芸者、辻和子の著書に惹かれた。この中に書かれているエピソードだけでも、かなり異様な状況だものな…田中眞紀子氏もさぞご苦労されたことでしょう…。