7番房の奇跡

イ・ファンギョン監督、2012年、7번방의 선물、韓国

6歳の少女イェスンは、子供の心を持つ父親、イ・ヨングと楽しく暮らしている。小学校入学を控え、イェスンが大好きなセーラームーンのランドセルをどうにか手に入れたい2人だが、それが買えるほど稼ぎがあるわけではない。
ある日、イ・ヨングはある少女と一緒にいるところをみられて、逮捕される。その子供が警視庁長官の娘だったこと、そして誤解を受けるような行動をしたこと、さらにその状況をきちんと説明できず、取調べ中の暴力に恐れを抱いたヨングは罪を認めてしまい、刑務所に入れられるのであった。
刑務所では、7番房で強面の受刑者たちにかわいがられながら、刑務所暮らしに慣れていくヨングだが、ひょんなことからイェスンと刑務所内で出会えることに。さらに、ある出来事のさなか、捨て身で所長を助けたことから、一部の人はヨングが誤認逮捕で刑務所に来た可能性を信じるものも出てきた。いろいろな人を味方につけ、ヨングは裁判にのぞむのだが…。

まあ、まず父親が逮捕されて6歳の娘が保護されず暮らしているところや、刑務所の房に娘が潜入できてしまうところがすでにファンタジーすぎるのだが、それでも重々しい話題に引き込まれていってしまう。救いは7番房の人々がかなりコメディなところか。現実的にはきっと軽度の知的障害を持っていて濡れ衣を着せられている人は世の中にいそうな気がするし、誤認逮捕した人に罪を着せるために警察が行う暴挙も、過去にあった話だから非常にリアル。実際は責任能力のないヨングがとても優しい気持ちを持っていて、娘を大切に思うあまりに裁判の答弁をうまくできない姿には、やきもきしてしまう。そして、イェスンを演じたカル・ソウォンがコメディエンヌぶりもパパを信じる娘っぷりも素晴らしい演技で魅せてくれる。父娘の会話に涙が止まらない。カル・ソウォンはどんな女優になるのか、将来が楽しみだ。