カーテンをあけていたばっかりにうっかり目覚めてしまい、そのまま朝日を眺めた。そしてふと振り返ると満月に近い形の月が。なんだか気持ちいい日だった。
さて、飛行機の最終便で今から帰るぞ、という日。どうしても見たいものがあって向かったのは「樫立」という地区だ。
★服部屋敷
江戸時代に「御船預かり」という、幕府の御用船を預かり運営する役目を果たしていた服部家の跡地だ。
この屋敷だけならなんということはないのだが(失礼)、ここで朝の10時から、八丈島の郷土芸能であり、東京都無形民俗文化財として樫立踊りと八畳太鼓のパフォーマンスをみることができる。しかも、パフォーマンスをするのは樫立踊り保存会の方々だ。これは何としてでもみなければ、と屋敷に赴いた。
この屋敷に一番近いバス停から1分程度の場所にあるとはいえ、すでにバスが遅れている…というところで、私たちも遅れていった。お客さんは少数だったが、すでにパフォーマンスが始まっていた…こんなことになるなら、「バスで行きます」ということを事前に電話で伝えるんだったなぁ。
樫立踊りは、流人たちがもたらした各地の唄や踊りに盆踊りをつけたものらしい。だから色々な地域の唄をベースにした踊りがあるということか。踊り手さんがみなさん黄八丈の着物を着ているのも特徴的だ。八丈島オリジナルのものとしては「ショメ節」というものがある。八丈太鼓をきいて、樫立踊りの体験もして…とても楽しかった。この体験はもっと幅広い人にしてもらいたいな。
ちなみに、このパフォーマンス、土日と祝日は必ずやるらしいが、その他の日はお休みをする可能性もあるらしい。必ず電話で確認すべし。とくにバス移動の人は必ず…。
昔の地元の商店をリノベーションして、カフェ兼「ぎょさん」販売店にしているところ。「ぎょさん」は、漁業従事者が履くサンダル、ということらしいが、今や島に幅広く普及しているものらしく、ぎょさんデコレーションを手掛ける店まであるとか。
服部屋敷から徒歩5分くらいか。パッションフルーツのソースをたっぷりかけたソフトクリームが美味しかった。
富次郎商店のあたりから徒歩10分くらいだったので、行ってみた。古びたお風呂だとばかり思っていたが、中は八丈島の杉やらヒノキを使っているらしく、浴槽も総ヒノキ。湯量も豊富で、とても気持ちがよいお湯だった。こちらの温泉には、控室に立派なマッサージチェアもあって、次のバスが来るまでのんびり過ごすことができる。
今回、車がつかえないと知った時はどうしようかと思ったが、時刻表を気にしながらバスで旅するのも楽しかった。タクシーの運転手さんやバスに乗り合わせた方々ともたくさん話ができて、色々な情報をいただいた。充実した旅だった。