2014年、韓国、イ・ジュヒョン監督、붉은가족(赤い家族)
制作と脚本、編集があの、今色々な意味で話題のキム・ギドクだということでも話題になった映画とのこと、相当おどろおどろしいのを想定していたのだが、ストーリーはもちろんのこと、コメディとしても楽しむことができた。
常に喧嘩ばかりしている仲の悪い夫婦がいる一家の隣に引っ越してきた、理想の家族がいた。長老者を敬い、お互いを思いやる家族だ。でもこの一家は、実は北朝鮮からやってきた工作員、ツツジ班だった。ひとたび"家族"だけになると、とたんに工作員同士の生々しく厳しい会話となる。どうやら母親役の女性が班を取りしきっており、班のメンバーの不備を怒鳴りつけている。脱北者の暗殺等もツツジ班の仕事のようだ。この班のメンバーたちも北朝鮮には人質同然の家族がいて、スパイ活動の失敗は、彼らの命のみならず、彼らが愛する本当に家族たちの命にもかかわってくるのだから、みんな必死だ。
そんな家族が隣の一家と交流をしていくにつれ、ケンカを重ねるが本当の意味で感情をぶつけあっている隣家がうらやましくなっていく。そんなときにある事件がきっかけとなり、ツツジ班の一家はある「ミッション」を遂行しなければならなくなるのだった。
ツツジ班の面々がスパイであることをひた隠しに(当たり前か)しているのに、隣の一家を救うためにうっかりそのスキルを出してしまったり、隣の家族との食事中、ニュースをきっかけに北朝鮮に関する議論をするハメになってしまったり…と、クスっと笑えるところも多いけれども、最後にツツジ班のメンバーが繰り広げる「一芝居」には感動した。
あと、北朝鮮の一家も韓国の一家も一緒になって歌う「アリラン」はよかったな。こちらのサイトによれば、アリランは「韓半島に数多く残る民謡の中でももっとも愛された歌」であり、「将来、南北統一国家ができれば”アリラン”が国歌になる」とまで書かれている。今はいがみ合っている両国に共通のよりどころがあるって素晴らしい。
「アリラン」知って伝統文化に関心を | 在日社会 | ニュース | 東洋経済日報
私はあまりアリランを知らないし思い入れがあるわけでもないが、ジャズ・ピアニストのGiovanni Mirabassiが韓国のライブで演奏したアリランが大好きだ。ミラバッシの演奏テイストと旋律もぴったり合っている。というわけで、久々にこの曲を聴いてしまった。