「サンバ」。セネガル移民の役でオマール・シー大活躍。ブラジル要素も登場!


2014年、フランス、エリック・トレダノ監督

主人公は、「最強のふたり」で観客を虜にしたオマール・シーが演じる青年、サンバ・シセ。レストランのシェフであるおじを頼ってまじめに働いていたが、ビザの更新を忘れたことがきっかけで国外退去を命じられる。その時担当をしてくれた、移民支援協会のアリスとちょっと近い仲になりつつ、故郷のセネガルにいる家族に送金すべく、日雇い仕事で頑張っている。
ブラジル出身だというウィルソンに助けられながら、どうにか生きているが、ある事件をきっかけに、サンバは国を去る決意をするのだった…。

移民がフランスで生きるというのは、まさにこんな感じなんだろうな。とにかく警察に目を付けられないように品行方正に生きているのに、ちょっとのことでつかまったりして、結果身分を詐称せねばならなくなる人だっている。そもそもフランスが植民地にしていなければもう少し暮らし向きがよかっただろうに、さまざまな理不尽に身をつまされる。

テーマも暗ければ、とてもいい演技をしているシャルロット・ゲンズブールの演じるアリスもなかなかのメンヘラっぷりでともすれば暗い映画になりがちな映画なのだが、なぜかそこまで暗い感じがないのが、この映画のいいところだ。そのヒントはサントラにあるのではないかと思っている。Earth, Wind & Fireは、「最強のふたり」の監督が手掛けたと知ったらまあ理解できるのだが、けっこうよいブラジル音楽がsound trackに使われていて、よかった。

Gilberto Gil の"Palco"とか。

Jorge Benjorの"Take It Easy My Brother Charles"とか。

とくに、このPalcoは、キッチュでMPBっぽくていい感じだった。Djavanかと思ったら大御所か!という感じ。映画の雰囲気づくりの音楽はけっこう大切だ、ということを示す映画でもある…気がする。