神童マヌーシュ・ジャズ・ギタリストJimmy Rosenbergの再出発!? 心境がわかるインタビュー動画

オランダのマヌーシュ・ジャズ・ギタリストであるジミー・ローゼンバーグ Jimmy Rosenberg を知っている人は、今どれくらいいるのだろうか。"Rosenberg"という苗字から想像できるとおり、Stochelo Rosenbergたちの従兄でもある。
私が彼のことを知ったのは、"Django's Legacy"というドキュメンタリーに登場した、The Gypsy Kidsの一員としてバンドを仕切るジミーの姿だ。このドキュメンタリーは1990年にリリースされており、オンタイムで観ていたわけではないが、小さな体に大きなギターを抱えているその姿に惚れて、CDを買って聴きこんでいた。

Jon Larsenプロデュースの元ソロデビューも果たし、若くしてSamois-sur-SeineのDjango Festival等の大きなフェスにも出演するなど活躍をしていたが、その後精神を病んでドラッグに手を出し、リハビリのために病院で暮らしたりしていたようだ。過去にみたドキュメンタリー、"The Father, the Son & the Talent(2007)"で知ったところでは、Jimmyの家庭環境がとても複雑だった模様。お父様は諸々の事情で人を殺め、収監されたりしているし…。


Jon Larsenとの関係がうまくいっていない感じや、クスリが抜けていない感じはこちらのドキュメンタリーでみてがっかりして。
asquita.hatenablog.jp

その後、一瞬動画で見つけたJimmyはかなり落ちぶれた様子で、ファンにはショックな姿だった。
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もう復活は難しいのではないかと思っていたところに、こちらのインタビューのダイジェスト動画を見つけた。2018年12月2日にPoppodium VOLT というコンサート会場で撮影したらしい。

聞き役のWilbert Smeetsもギタリストらしいが、Jimmyほどは上手ではないらしく、「一緒に弾こう」というJimmyの誘いに照れを見せている。でもきっと、相手がギターを持っていることで、Jimmyもリラックスしているに違いない。
オランダ語だが、親切な人がラフな英語の字幕を付けてくれているので、だいたいの内容がつかめる。

麻薬だけでなく、息子さんが若くして癌でなくなっているようだ。現在も悪夢をみるようなことがあるため抗うつ剤等を飲んではいるようだが、お嬢さんは結婚して孫もできたようで、子供や孫のためにも、はやく元気になって、音楽を世界に届けたいという強い意志があるようにみえた。実際に家族と面会させてもらっているかは定かではないが、彼の音楽と生命に対する強い思いをきくことができて、ファンとしてもうれしい。Djangoの音楽への強い思いはあるものの、ファンクやビーバップなど、他の音楽に対する興味もあるようで、司会者の「世界で最も美しいと思う曲は?」という質問の回答として、Whitney Houstonが歌っていた"All at Once"とかちょっと弾いてくれている姿も。また、Bireli Lagreneのような、いわゆるマヌーシュ・ジャズ界の名演奏家についての意見や、Jon Larsenに対する思いも後半で語っている。"Jon and Jimmy"の関係がなぜ壊れてしまったか興味のある人は必見だ。

若い頃から自分の意志もないまま音楽(というかマヌーシュ・ジャズ)にどっぷり浸かり、お金儲けをもくろんだであろう人々に翻弄されてきたこの人は、つまるところ純粋なアーティストなのだな、というのが私の感想。自分の思うがままに、たとえDjangoが好きでも強制されない状態で、好きなように音楽をできる環境においてあげるのが、彼の幸せなのだろう。現在、彼を支援するチームもいるようなので、今後の活躍を大いに期待している。才能あるギタリストであることは間違いないのだから。

ちなみに、気になる発言としては…Jimmyのお気に入りのギターが"Favino"らしい。その点については納得なのだが、その中で、「ギターのホールの中にたばこの灰を入れて、ボディが乾燥してくると、いい音になる」みたいなことを言っているのだ。本当だろうか。教えて、わかる人!