ユーゴ・リッピHugo Lippiは、英国ポーツマス生まれ、17歳でプロのギタリストとしての活動を開始し、1998年以降現在までフランスを中心に活躍している。プロフィールに書かれている共演者をみると Stéphane Belmondo, Marcel Azzolaなど、また出演しているフェスもMarciacとか Juan les Pins等、ジャズギターを極めた方なのが伺える。なんでも、Paris Jazz Big Bandのメンバーとしても有名で、のちにVintage Orchestraを創設したトランペッターのFabien Mary に見出されて初リーダーアルバム"Who Cares"をリリースしているというから、ジャズの王道を歩んでいるミュージシャンのようにみえる。
しかしこの方、マヌーシュ・ジャズを意識しているようにもみえるのだ。その根拠は…
1. 公式プロフィールをみると、" largement teinté d'influence tsigane."、つまり、「ツィガーヌの影響を主に受けている」と明記してある
2.マヌーシュ・ジャズのライブハウスといっても過言ではないパリのL’atelier Charonneにて、David Reinhardtとデュオライブをしたことがある(ただし、どんな内容かはわからない)
3.デビューアルバムのカルテットメンバーのライブで、マヌーシュ・ジャズの世界で有名なギタリスト、クリスチャン・エスクーデChristian Escoudeと共演している。こちらもビバップサウンドですが…。
ユーゴは昨年アルバム "Comfort Zone"をリリースしたのだが、そのアルバム収録曲にジャンゴ・ラインハルトの名曲"Manoir de mes rêves(Django's Castle)"が入っている。こちらは、TSF Jazzのスタジオライブの模様だ。
ごりごりのマヌーシュ・ジャズスタンダードとして聴きなれている身には新鮮なアレンジだ。これがユーゴなりのマヌーシュ・ジャズへのレスペクトなのかもしれないね。