気が付けばゴールデンなはずのゴールデンウィークは、ガマンを強いられるウィークになっている。が、私はいろんな映像を見直したりして、引きこもり生活をそれなりに楽しんでいる。
さて、本日見直したのは「Nuages」というドキュメンタリーだ。1983年にフランス文化省( le ministère de la Culture)により制作され、フランスのテレビ局M6で放映されたという。(個人的な疑問としては、M6の開局が1987年なのに、なぜそれより前に放映されているのか、ということ…制作が1983年ならわかるのだが。ま、細かいことは考えるまい)。監督は、Pierre BefveとNorbert Aboudarham。Norbert Aboudarhamは、Bratschというちょっとエスニックな音楽なんかを演奏するバンドのメンバーだったのだが、それを脱退して自分でDjangoの音楽を追求する新たなグループ"Un bal clandestin"を立ち上げていた。一方のPierre Befveは音響エンジニアとして、ベネックスJean-Jacques Beineixやリュック・ベッソン作品の音響も担当していたらしい。映画「グラン・ブルー」とか「ニキータ」にも参加していた。
このドキュメンタリーが、ナレーションは入っておらず、当時のマヌーシュ(les gens du voyage)の暮らしっぷりや音楽を純粋に楽しめるつくりになっているのは、音に造詣が深い二人が監督をしているおかげかもしれない。出演者はDorado Schmittとその息子(Dorado fils)で、今も大活躍している Samson Schmitt、ビレリ・ラグレーンBirelli Lagrene、クリスチャン・エスクーデChristian Escoudéとマルセル・アゾーラMarcel Azzolaのライブの風景など…。
私は2011年にこの動画に出会い、この動画の感想をこのブログに残していたのだが…これを読んで、衝撃的なことに気がついた。
asquita.hatenablog.jp
自分が、この映像に出ているバビク・ラインハルトBabik Reinhardtのことをまったく無視している、ということに。そう、この映像には途中親子が家族内で音楽を継承する様子が描かれているのだが、その中にバビクが息子のDavid Reinhardt(映像内ではBabik filsと紹介されている)に、自分の父親でこの音楽の創始者でもあるDjango Reinhardtの写真を見せたりしているシーンがあったのだ。ちなみにDavid少年、リズムギターみたいな感じでじゃかじゃかギターをかき鳴らす様子等も映像に残っている。
バビクと若かりし頃のビレリのが共演しているシーンもかっこいい。この頃のビレリは神童としてあがめられ、デビューしてマヌーシュ・ジャズ以外のジャンルでも頭角を現している頃かもしれない。Dorado Schmitt Trioも出てくるが、今も色々なマヌーシュ・ジャズグループのリズムギターを担当しているHono Wintersteinが! もうこの時には活躍していたんだな、としみじみ。
年月とともに自分の知識が広まることで、新たな発見がある。というわけで、引きこもり期間に古い映像や本等を楽しむことを心がけようと思う。