マヌーシュ・ジャズ界で活躍中のAurore Voilque、ヴァイオリンは、鈴木メソード仕込み。

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実はずっと気になっているヴァイオリニストがいた。オロレ・ヴォワルケAurore Voilqué 。こちらのポスターは、2018年にパリのモンパルナス・カフェで行われたライブ告知のものだが、アンジェロ・ドゥバールAngelo Debarreとマチュー・シャトランMathieu Chatelainという名ギタリストと共演するなんてすごいな…(でも珍しい苗字だねぇ)というわけで心に留めていた。
その後、自身のカルテット名義で二人のギタリストと、やはりチャボロ・シュミットTchavolo Schmittとの共演で来日歴もあるベースのクロディウス・デュポンClaudius Dupontとともにアルバムを出していることを発見したのであった。
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日本では2019年12月にリリースされているが、ティザーが2018年に出ているところをみると、冒頭のポスターはリリース記念のツアーのものだったのかもしれない。

マヌーシュ・ジャズとジャズ、ヴァリエテがほどよく混在したラインナップ。ごりごりのマヌーシュ・ジャズでない分聴きやすいかもしれない。(というか、アンジェロはこういうのも演奏するんだ。当たり前か。)

ふと、彼女のプロフィールでも調べてみようと思い立った。生まれはシルティハイムSchiltigheim 、つまりはバ=ラン県、アルザス地方。ただし、マヌーシュの一族生まれではなさそう。3歳からヴァイオリンを始めたものの、その方式は耳コピで楽曲を弾けるよう教育する"la méthode japonaise «Suzuki»"、つまり鈴木メソード仕込みだと書いてあったからだ。鈴木メソードって本当に全世界に広がっているんだなぁ。

親の転勤で7歳からはカメルーンニジェール、モロッコを点々として、オーケストラ等でクラシックを学んでいたが、17歳の時に先生にジャンゴ・ラインハルトDjango Reinhardtステファン・グラッペリStephane Grappelliの音楽を紹介され、そこから沼にはまっていたようだ。そして、グラッペリの弟子としても知られるヴァイオリニスト、Pierre Blanchardピエール・ブランシャールと連絡を取り、レッスン開始。ジャムセッション等に参加して多くの経験を経て、2004年に自身のクアルテットを結成したとか。もちろん、自身の活動だけでなく、トマ・ドゥトゥロンのツアーに参加したり、アメリカで活躍するオルガン奏者ローダ・スコットRhoda Scottのジャンゴへのオマージュアルバムにも参加、2009年にはサムソン・シュミットSamson Schmittがニューヨークでやっている恒例のジャンゴイベントにも参加したという。もちろん、フランス国内のジャズフェスの参加歴も多数。これだけ功績があれば、アンジェロたちとの共演も手の届く範囲にある気がする。

最近では、Thomas Dutroncのニューアルバムお披露目ライブ出演に招かれたとか。彼女が好きな分野で成功した秘訣は、この音楽を好き過ぎてしまったこと、かもしれないね。Facebookもまめに更新しているようなので、興味がある方はぜひ確認してください。
https://www.facebook.com/AUROREQUARTET/