林英哲 演奏活動50周年記念公演 独奏の宴―「絶世の未来へ」@サントリーホール

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迫力にすっかり圧倒された舞台になった。腹筋を使って叩く太鼓をみることができたし、音の構成とともに太鼓の配置なども美しく変わっていくところがよかった。足で拍子をとることも含めて、太鼓の表現で本当に豊かなんだな。会場でいただいたパンフレットに「太鼓の表現の可能性」について英哲さんが話している箇所があった。それによると、太鼓の打法は「正対構え」「横対構え」「田楽の構え」を会得しておけば日本の伝統的な太鼓の型はできるので、あとはそれをどう構成・演奏してクリエイティブな演奏をしていくのか、というところだという。なんでもやればいいというものではなく、伝統の枠組みの中での創作、というのが英哲さんのこだわりなんだな、と思った。

第二部の「海はかうかうと空に鳴り〜祝歳の饗宴」では、横笛の藤舎名生と囃子の藤舎呂悦が登場。二人とも林英哲が師事していた師匠らしい。ここに麿赤兒が加わって踊りを見せる。ドレスのようなものを身に纏ってでしなやかに太鼓の周りを舞う姿はものすごいインパクト。この舞台に、怪我で急遽不参加となった山下洋輔もピアノで加わっていたはずだった...どんなことになったんだろうか。第三部では、「レオナール われに羽賜べ」。なぜここで藤田嗣治?と思ったが、レオナール藤田が日本とヨーロッパでの評価の差で苦しんだというところに、林英哲が自信の姿を重ねたとか。

自分がこの舞台をどこまで理解できたのか、正直わからない。さまざまな太鼓の中でも音程によって好きな音やそうでもない音があることも事実だし。ただ、林英哲がこの世界の第一人者として、コロナで舞台ができない状況で悩み抜いて祈るように作り上げた舞台だということがわかった。気迫が伝わったというか。
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