第56回東京都民俗芸能大会 IN ITABASHI ー豊穣への祈りー@板橋区立文化会館大ホール

2025年都民芸術フェスティバルの一環として行われている、東京都民俗芸能大会を鑑賞した。民俗芸能は好きでよくみに行くのだが、東京都の民俗芸能大会を見るのは初めてだ。

私が観に行った初日、3月22日(土)は、以下のプログラムだった。多良間の芸能が入っていたので気が付かなかったのだが、全て東京都の芸能であった。多良間の芸能は、東京多良間郷友会の方々によるもの。この郷友会は会員数も300名ほどいて、設立から90年以上が経過するとか。以下、プログラムを参照しながら記憶に残ったことをメモしてきたいと思う。

1. 川井八雲神社獅子舞 川井八雲神社獅子舞保存会(奥多摩町


毎年のこどもの日、5月5日に八雲神社例大祭で奉納されるお祭り。尾張の国津島牛頭天王を川井エリアにお招きした時に伝授した「ささら獅子舞」がベースになっているとか。この日は、伝承されている演目のうち、春たけなわの宮廷で官女が笛や太鼓に合わせて舞い踊る様を表現したという「奉花(ほうか)」というものだったらしい。フォーメーションが美しく、みていて楽しい演目だった。
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2. 樫立踊り 樫立踊り保存会(八丈町

昭和35年(1970年)に、静かな「場踊り」と賑やかで早い「手踊り」が東京都指定無形民族文化咲に指定されたのが、こちらの樫立踊りだ。
場踊りは、お月見の時に踊られたものらしい。「江島踊り」「鵜の鳥」「お菊がお茶」「走り舟」「二十が若さ」「十七」というものを連続して披露していただいた。振り付けが曲ごとに違ったのだが、すべてのレパートリーを覚えるのは結構大変なんじゃなかろうか。手踊りは、江戸時代に八丈にきた流人や舟の乗組員が伝えた故郷の歌や踊りを八丈島風にしたものだという。12曲のうち、「あいこ節(宮崎)」「藤次郎甚句(栃木)」「平潟節(茨城)」「平潟くづし(千葉)」「かんとう屋(神奈川)」「伊勢音頭(三重)」をメドレーで披露した後、新潟のおけさ、高知の土佐くどき、鹿児島のやりくどき、広島の芸州節を披露していた。必ずしも全ての曲がはやかったり賑やかだという印象はなかった。最後は、八丈島の民謡、ショメ節で〆。
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これは、八丈島の服部屋敷で見たことがあったので、楽しみにしていたのだが、広い舞台で落ち着いてみると、歌い手さんの負荷がすごいな。ずーっと歌い手さんが一人でメロディをつけていたのが印象的だった。八丈島って太鼓などもあるのに、この踊りは歌と掛け声だけで遊ぶのか。衣装として着用している黄八丈が鮮やかで素敵だった。

3. 多良間の獅子舞 東京多良間郷友会芸能部(沖縄県多良間村
旧年8月8日から3日間行われる有名な祭り「八月踊り」の初日と最後に出演者全員の顔見世「総引き」で登場するのが、この獅子舞(スースブギィ)らしい。獅子舞とはいえ、私が知っているのとは異なり胴体がなかなかごっついけむくじゃらで、これは麻や芭蕉の繊維でできているらしい。ブーグーベー?という獅子を先導する人の動きが不思議とぎこちなくて面白い。太鼓、三線、笛、法螺貝に合わせて踊る獅子は、中に2人の人が入っていて、先頭の人は重い獅子頭を振り続け、後ろの人は片手で尻尾を振り続ける。そんな仕組みを見せてもらったのも面白かった。

4. 徳丸北野神社田遊び 徳丸北野神社田遊び保存会(板橋区
「もがり」と呼ばれる神社の前に設けられた場所で、稲作の一年間の農作業を演じることで、その年の豊穣を祈願するお祝いの祭りを「田遊び」というらしい。こちらの田遊びは、昭和51年に板橋の田遊びとして国指定重要無形民俗文化財に指定されたとか。


大稲本の「よう よなんぞうどの」という掛け声に残りの人が「よーっ」と答えることで始まり、田植えに関する色々な所作が再現される。滑稽役の「ヨネボウ」とか、役人が出てきたりなんだりと、もがりという四角い枠のなかで色々なお題が出てくる様は、ちょっとショートコントっぽい。現場で見るとまた違うのだろうが。びっくりするほど男性しか出てこないことも印象に残った。早乙女役も少年だったよなぁ。なぜだろうか。女人禁制なのか、それとも保存会に入りたいと思う女性がいないのか。大稲本の声は非常に美声で、心地よかった。

板橋区にくるのも初めてだったのだが、東京都の下町以外にも民俗芸能がたくさんあるということを知る良いきっかけとなった。