
映画「国宝」で話題の歌舞伎だが、歌舞伎座の演目もあつい。六月大歌舞伎、(本当のタイトルは「松竹創業百三十周年 尾上菊之助改め 八代目尾上菊五郎襲名披露 尾上丑之助改め 六代目尾上菊之助襲名披露 六月大歌舞伎」長いっ!)夜の部を鑑賞しに行った。

暫
成田屋が音羽屋を寿ぐための演目という感じか。ナマズ入道の鴈治郎もいい味を出していたし、清原武衝役の芝翫の存在感も相変わらずだが、やはり鎌倉権五郎役の團十郎の存在感はすごい。演技が上手いのかはわからないけれども、60キロもあるらしいあの衣装でよくぞあんなに立ち回れるなぁ。そして華やか。中車が、セリフもない地味な茶後見の役だったことに衝撃を受けたが、團十郎を前にしたら、シュッとして体格も良くもう誰もが無力に見えてしまうくらい存在感がある。大薩摩連中の中に杵屋勝松氏の姿。團十郎に睨まれる幸せ、こいつは春から、いや初夏から演技がいいぞ。
口上
音羽屋親子を挟んで、上手から仁左衛門、松緑、團十郎、梅玉という並び。八代目、これ以上ない嬉しさだろうな。七代目の菊五郎も松緑もそつなく、そしてにざ様、梅玉は流石の重鎮感あり。團十郎は、七代目とのリアルな同級生ネタやお稽古に一緒に行った話などで会場をわかせる。七代目もちょっと目を伏せながら笑っていたように見えた。菊之助は、ちょうど声変わりが始まるところという感じだが、團十郎が語る通り、大人が中に入っているようなしっかりさを見せてくれた。口上に4人しかいないのは初めて見たのだが、5月はどうだったんだろうか。気になる。
連獅子
歌舞伎の演目で一番見ているのがこれかもしれない。こちらも、音羽屋ガチ親子によるものだが、菊之助の舞の美しさに目が行ってしまった。あの装束をつけたまま、子獅子が花道を後ろ走りする(=崖に落ちていくさまを表現しているのかな)ところがあるのだが、迫力がすごかった。毛振りも、菊五郎に負けていない。これは大人が...お祖父様の吉右衛門が乗り移っているのではないか。
お馴染みの宗論は、獅童と愛之助コンビによるもの。元々お二人は仲良しなだろうか、息もぴったり。特に愛之助の所作が美しくて、惚れてしまった。
芝浜革財布
世話物ってやつかな。萬寿の演じるおたつのいい人っぷりが際立つ。そして魚屋政五郎役の松緑も、板についている。密かに中車も政五郎役にいいのではないか、と思ったが、過去に演じたことがあるみたいだ。できる妻おたつと大家さんの粋な計らいで、まともな暮らしに戻ることができた政五郎だが、このバージョンは最後に酒を飲み、しかもおたつと酒を酌み交わす。今っぽいなぁと思った。めでたしめでたし。

今回の夜の部は、すべてわかりやすく楽しむことができた。詳しくはプロのレビューをご覧いただきたい。
spice.eplus.jp
Tiffanyの祝幕の詳細はこちら。7月に銀座でオープンする本店のプロモーションらしいのが、本当、センスの良さに惚れ惚れした。
www.fashionsnap.com