平日の午後のコンサート 〈山の思い出Ⅱ〉@東京オペラシティ コンサートホール


冗談のような高い気温の中、先日、「平日の午後のコンサート 〈山の思い出Ⅱ〉 」へ。昨年実施した登山つながりの演奏会が好評を博したから、とのこと。指揮は横山奏氏、ヴァイオリンのソリストは中野りな氏、そしてゲストスピーカーとして俳優の石丸謙二郎氏がいらしていた。石丸氏は、登山好きで登山歴40年(!)、登山に関する著書があり、NHK-FMでは「石丸謙二郎の山カフェ」という番組もされているそう。そして指揮者の横山氏もご趣味が登山とのことだった。テーマにぴったりな出演者と曲目、というところのようだ。プログラムも、山と自然に関連したものが選定されていたのだが、その理由をプログラムから読み解いてみる。

プログラム:
チャイコフスキーバレエ音楽『眠れる森の美女』よりワルツ
キーワードは「森」かな? 綺麗な曲なので、生で聴けて嬉しかった。

チャイコフスキー/ヴァイオリン協奏曲より第1楽章
チャイコフスキーは、スイス西部レマン湖湖畔の村にて療養していたが、そこを訪問した仲良しのヴァイオリニスト、ヨシフ・コーテクの触発されてできがったのがこの曲だったとのこと。ソロヴァイオリンを弾いた中野氏の音色が優しくて、リラックスした気持ちで楽しむことができた。

兼松正直/『槍 〜自然の恵みに包まれて〜』
テレビ松本ケーブルテレビジョン創立50周年記念事業として、槍ヶ岳4K映像のイメージ音楽を公募したところ採用されたのが、兼松正直氏が作ったこの曲とのことだ。プログラム的にもちょっと無理があるのではないかと思っていたが(本当にすみません)、この曲、本当に素晴らしくて涙が出るほど良かった。実際の録音版も横山氏の指揮で東フィルが演奏しているらしい。なんというか、ジョン・ウィリアムスのような壮大さを感じる壮大で清々しい曲。槍ヶ岳の魅力とともに、この曲がもっと広ま理、東フィル以外でも演奏されるといいな。
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グラズノフバレエ音楽『四季』より「秋」
アレクサンドル・グラズノフは、ロシアを代表する作曲家らしいが私は今回初めて知った。この「四季」は、冬で始まって秋で終わるらしく、こちらがフィナーレ(収穫の秋)ということで、彼の四季の中でもとりわけ華やからしい。指揮者の横山氏は、普段山登りでクラシック音楽を聴くことはないが、これだけは唯一ある山に登った時に景色と共に聴いて感動した、と話していた。どの山だったか忘れてしまったが。

ドビュッシー/月の光
これも自然現象ということで山のテーマの一つに選ばれたのかな。ピアノでなくオーケストラ版は初めて聴いたが、金管木管、弦と色々な楽器がテーマを変わるがわる奏ており、これはこれで面白かった。
解説によれば、元々は「感傷的な散歩」という題名だったのが、のちに改題されたらしい。

チャイコフスキー交響曲第5番より第4楽章
あれ、これはどのあたりが山なんだっけ...多分チャイコフスキーが自然を創作活動の源にしていたから、ということかな。名指揮者、アルトゥール・ニキシュがこの曲を指揮して各地で成功を収めたおかげで、チャイコフスキーも指揮や作曲への自信を取り戻したとか。

アンコールで写真撮影ができるルールがあるらしいが、うっかりぼーっとしてしまったため、私がこの演奏会に行ったという写真の証拠は今回どこにもない...それはまた次回ということで!