

トロンボーン好きとして、この公演のことを知った瞬間行きたいと思った。ライアン・ケバリーRyan Keberle。マリア・シュナイダー・オーケストラで15年も活躍していたと知ったら、それだけでその奏者のトロンボーンの腕前は証明されたようなものじゃないか。しかも、そのトロンボーン奏者が率いるジャズアンサンブルなんて、ますます興味深い。ただし、この公演を予約した時、ちょっとだけ心配もした。カタルシスはピアノレスのアンサンブルだと思っていたので、トロンボーンとギター& ボーカル、ベースという組み合わせのアンサンブル...ドラムレスでトロンボーンが主旋律、ちょっと地味だから飽きちゃうかもしれないな、と。
でもそんな心配は全く不要だった。地味どころか、見どころ満載のライブだった。
まずはRyanがピアニストとしても大活躍をしていたということ。あとでプロフィールを見たら、この人は、父はジャズ・トランペット教師、母はピアノ教師、スズキメソードでヴァイオリンを学び、NYではピアニストとして活動していたんですね。知らなかった。2017年にサンパウロに行ってからブラジル音楽にハマって、Collectivo Do Brasilというプロジェクトを結成、すでに3枚もアルバムを出したり、有名作曲家にインスパイアされたオリジナル曲なんかも作っている人だった。
そして、ベーシストのホルへ・ローダーJorge Roederがいい仕事をしていた。I should Careのベースソロ、すごかった。ペルーのリマ出身で、チェロ奏者から、ジャズに興味を持ちベーシストになったそう。国際ベーシスト協会のジャズ・コンペティションで優勝するような腕前の奏者らしい。アルバム"Music Is Connection"でもさらに、カミラ・メサCamila Meza。ギターとボーカルを担当する彼女が、Ryanのブラジルへの思いをより具体的にしてくれている気がする。透明感のある声と、ギターのコンビネーションがたまらない。昔好きだったBelen Ileというアルゼンチンのシンガーのことを思い浮かべていた。こういう声とギター、好きだったんだ。
スキャットとギタープレイを合わせる手法が、とてもToninho Hortaを彷彿とさせる感じでよかったなぁ。Ivan Linsに触発されたオリジナル曲も素敵だった。この曲じゃなかったかもしれないが。
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Caetano Veroso の名曲"Coracao Vagabundo"の演奏、そして、Milton Nacimentoの"Club de Esquina"が好きだと話をしてから演奏してくれた"Vera Cruz"もよかった。
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よく考えてみたら、Os Ipanemasとか思いっきりトロンボーンが目立っていた。Ryanがブラジルにハマったのも時間の問題だったのかもしれない。
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Tiny Desk Concertに出た時から、さらに進化を遂げていて楽しいライブだった(ボキャブラリーの乏しさよ)。たった3人で倍の人数のミュージシャンがいるくらいのパフォーマンスだった。アンコールは"Stardust"でこれはこれでよかったが、アンコールもブラジル音楽だともっと楽しかったなぁ。ぜひまた、同じメンバーで来日してほしいです。

