コルシカ生まれのギタリスト、Fanou Torracintaの新しいマヌーシュ・ジャズ

近年、旅に行きすぎたのと、K-popにかまけすぎてなかなかマヌーシュ・ジャズ関連情報がカバーできなかったのだが、最近ちょっといいなぁと思ったミュージシャンがいたのでこちらに記録しておこうと思う。

ウェブサイトによると、Fanou Torracinta(ファヌー・トラシンタ)は、コルシカ島出身の28歳。島のフェスに来るジプシージャズのミュージシャンたちに刺激を受けてギターを学んだ...とかいてあるが、確かに、コルシカには私が知るだけで2つのマヌーシュ・ジャズフェスがあったのだ。2年しか開催されたなかったFestival de Jazz de Coti Chiavari(Les amis de Django)、そして、今年33回目の開催となる「パトリモニオ ギターの夕べLes nuits de la guitare de Patrimonio」。後者はマヌーシュ・ジャズに限らないギタリストの祭典なのだが、そうした中からジャンゴ・ラインハルトの音楽に聴き惚れて、独学で学んだようだ。
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その後、2012年、17歳くらいでTchavolo Schmittのツアーに参加したり、コルシカ出身の歌手Arnaud Giacomoniアルノー・ジャコモーニ、言わずと知れた有名コントラバス奏者のWilliam Brunardウィリアム・ブルナール、そしてディディエ・ロックウッドの下で学んだバイオリニストのBastien Ribotバスティアン・リボと"Corsican Quartet"を結成したという。Stochelo RosenbergともFestival Jazz Forbachにて共演したようなので、マヌーシュ出自のミュージシャンたちにもその実力が認められている、と考えていいのあろうか。
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現在は、自身のカルテットを結成し、ピアノにバスティアン・ブリソンBastien Brison、ベースにWilliam Brunard、そしてリズムギターにベンジ・ウィンターシュタインBenji Wintersteinを迎えて活躍しているようだ。先月にフォンテーヌブローで行われたDjango Reinhardt Festivalでも、このメンバーで出演した模様。

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ピアノ入りのマヌーシュ・ジャズが耳に新鮮で、動画を堪能した。もちろん、ピアノ抜きのトリオも高いクオリティだ。
2023年4月には、""Gipsy guitar from Corsica vol.II" "というアルバムをリリースしたようだし、最近はパリのジャズクラブでも定期的にライブを行っているようなので、パリに行くチャンスがあればぜひライブに行ってみたい。

「実験工房の偉業」内山貴博フルートリサイタル@両国門天ホール 

実験工房の偉業」というタイトルのコンサートへ行った。

実験工房というのは、美術家と音楽家を中心としたメンバーからなる総合芸術グループのことで、1951年から57年くらいまで存在したらしい。
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その結成メンバーであり、武満徹さんと現代音楽を作っていた湯浅譲二の「ドメイン」が今回のメインの演目だという。なんでもこの曲は、フルート奏者、小泉浩氏のためにかかれた作品らしいのだ。

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超絶技巧過ぎて、技能がないと披露ができないようなすごい曲だった。

その他には、近代フランス音楽の作曲家Andre Jolivet "5 Incantations(五つの呪文)"からの抜粋、イタリアの作曲家Bruno Maderna の「甘い夢Honeyreves」(タイトルがフランス語と英語の組み合わせなのか!)、そして2020年に作曲されたという、Beat Furrerの「Melodie」。
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超絶技巧が必要だということはよくわかったのだが、まだどのように楽しむのがいいのか、私自身が理解していない気がする。あと、どうやって曲として捉えればいいのか、音楽に規則性(定期的にサビがくる曲など)を求める私にはまだわかりかねている。かっこいいな、と思うけど脳内で再現ができない音に戸惑っている感じかな。引き続き、機会を見つけてライブなどに行ってみようと思う。

きゅうり3本を美味しい漬物に!

夏といえばきゅうり。いつも浅漬けの素と昆布に漬けて食べているが、たまにちょっと塩辛くて気になることがある。そんなときに見つけたのがこちらのレシピだ。

まずはきゅうりを適量の塩で揉んで水気を出してから、以下の材料を混ぜたものに漬け込む。

  • 醤油小2
  • ごま油小2
  • ほんだしor鶏ガラ 小1
  • はちみつ 小1
  • 塩昆布 適量
  • いりごま、すりごま たっぷり

すると、特に揉んだりしなくても、辛過ぎないきゅうりの漬物の出来上がり。水野あきさんという方のレシピを参考にした。きゅうりの漬物もまだまだ色々なバリエーションがありそう。また試してみようと思う。
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郡上おどりin青山。「GJ8マン音頭」をがちで踊るゆるキャラを眺める

ものすごく久々に「郡上おどりin青山」に行ってきた。岐阜県の城下町である郡上八幡で400年にわたって続けられている郡上おどりは国重要無形文化財に指定されている盆おどりで、7月から9月まで32夜、そしてお盆の4日間は徹夜で踊ることで有名なお祭りだ。そんなお祭りがなぜ青山で行われているのか。解説によれば、そもそも「青山」という地名が、徳川家康の家臣である青山忠成の下屋敷が置かれたことにちなんで名付けられたのだが、その青山家ゆかりの方が江戸中期
に郡上藩を所領し、その菩提寺が青山の梅窓院に置かれたご縁...とまあちょっと遠く複雑なご縁から始まったらしい。ただ、その盛り上がりはなかなかのもので、郡上からいらしたお囃子の方々のいる櫓を囲む円が広がっていくさまを不思議な気持ちで眺めたり、踊れる踊りがあれば参加したりしている。

久々に会場を覗いてみた今年、初めてGJ8マン(ジー・ジェイ・エイトマン)というご当地ゆるキャラに出会った。このキャラ、さくらももこ氏がたまたま訪れた郡上八幡を大変気に入って、頼まれていないのに勝手にイメージして作ったキャラクターなのだが、そこで話は終わらなかった。その後地元出身のデザイン会社の社長が中心になって短編アニメを作成、実際に2016年10月から月一回でアニメまで公開されていたそうなのだ。




さらに驚いたのが、さくらももこ作詞による「GJ8マン音頭」という音頭がある、ということ! 完成の様子はちゃんとアニメになっている。歌は「ヨシケン」とクレジットされているけれども、この声は保存会で音頭取りをされている吉村建治氏の声のようだ。
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そして、踊りのお手本動画まで出ている。郡上おどりの色々な音頭の振り付けが上手にミックスされているので、すでにすべての踊りをマスターしている人には、覚えやすいのではないだろうか。
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今年の郡上おどりin青山には、開始前に「GJ8マン音頭」のインストラクションがあり、実際にGJ8マンが音頭を踊っていた。踊りにくいだろうになかなか上手な足捌き...中の人は間違いなく本物だな。

さくらももこさんはこの音頭が生まれた翌年にお亡くなりになっているのだが、彼女の命日は8月15日だ、ということに感じ入るものがあった。今も大好きな郡上に行って、郡上おどりを楽しんでいるに違いない。

今年の徹夜踊りは、8月11日〜16日の朝4時まで。すでに青山で郡上のよく鳴る下駄も買っちゃっているし、あとは行くだけだな...
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Tokyo City Pop Lounge@BAROOM。chihiROと香坂みゆきの歌声に惚れる




友人に誘われてシティポップをJiLL-Decoy associationのchihiRoさんがカバーしていく、というライブに行ってみた。JiLL-Decoy association、通称「ジルデコ」は20年ほどジャズやファンクのバンドとして活動していたが、最近活動休止中とか。今回はボーカルchihiRoさんのスペシャルユニットでシティポップを生音で聴かせる、という趣向。BAROOMというライブハウスも円形劇場みたいな構造で、この空間だけで特別な気持ちになる。

chihiRoさん、声が透明すぎる...ボキャブラリーが足りずどう表現して良いかわからないので、ぜひ動画をみていただきたい。いわゆるシティポップのスタンダードはかなりカバーされたのではないだろうか。
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この日のもう一人のゲストが香坂みゆきさんだった。その名前を聞いた時、演歌歌手の香西かおりさんと勘違いしてしまったことは置いておいて...今やコメンテーターやタレント活動の方でよく見かける香坂さんが実はアイドル歌手としてご活躍だったことを知った。そして、その彼女が今も無理のない美しさを保っており、トークさせればチャーミング、かつ高い歌唱力をお持ちだったことに驚いてしまった。1984年にリリースして資生堂のCMソングだったという大貫妙子作詞、EPO作曲の「ニュアンスしましょ」という曲を初めて聞いたのだが、歌詞はちょっとバブルの匂いがぷんぷんするけれども、すごく印象的な曲。しかも香坂さんの声が可愛らしすぎる!
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最近「黄昏とせつなさと」という曲をリリースされたとのことだが、こちらもシティポップっぽい魅力的な曲だと思った。
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「シティポップ」というキーワードだけで聴きに行ったライブで、新たな曲やアーティストとの出会いがあって、満たされた気持ちになった日となった。

山西亭@東新宿にて、粉もの祭り!

東新宿から徒歩5分くらいのところにある「山西亭」は、刀削麺をはじめとした山西省の名物が食べられるお店だ。ハニカム構造になっている麺に興味があったので今回訪問してみた。

その前に山西省ってどこなのか。

中国の山西省は中国の北部にある省であり、世界遺産に登録されている「雲崗石窟(うんこうせっくつ)」が一番有名な観光地だと思われる。黄土高原に面していおり、河はいくつかあるにしても、気温が低くて乾燥しておりお米を育てるには厳しい環境だったらしい。というわけで発達したのが「粉もの」。そう、山西省はあの「刀削麺」の発祥の地でもあるのだ。私が初めて刀削麺に出会ったのは「西安刀削麺」だったので陝西省(せんせいしょう)のものだとばかり思っていたが、そうではなかった! ちなみに山西省のお隣にある陝西省の名物は、あの画数がやたら多い漢字で有名になった「ビャンビャン麺」とのこと。漢字を知りたい方は、wikiでご確認ください。
ja.wikipedia.org

お店は半地下にあり、壁にはメニューがベタベタ貼ってあるので、目移りがする。
まずはおつまみとして、豆腐干絲、孜然(ズーラン)豆腐という豆腐をあげたものにクミンをまぶしたもの、それにあげたナスとあげたシメジ、山西省の名物である黒酢を使って白菜を炒めた醋溜白菜(ツゥリゥバイツァイ/白菜の黒酢炒め)あたりをオーダー。いやぁ、どれも美味しくてこれだけですでに感激したのだが、ここで絶対に食べるべきは、クミン豆腐と黒酢白菜かな。本当は、山西省名物らしい白酒を合わせるべきなのだろうが、ちょっと飲み切れる自信がなかったため、ここは浙江省紹興酒にお世話になることに。






さて、ここからが本番の麺類。本当にどれも美味しそうで目移りしてしまったのだが、4種類をオーダーしてみた。
莜麺栲栳栳 (ヨウミェンカオラオラオ)
筒形にまとめたオーツ麦、という漢字なのだが、まるで蜂の巣のような見栄えだ。これにトマト卵か黒酢のソースをつけて食べる。きちんと生地の味がして、美味しかった。

山西蕎麦炒め
蕎麦で作ったペペロンチーノ的な感じ? 見栄えはそんなに素晴らしくはないが、下手な蕎麦よりもちゃんとお蕎麦の味がする。(そして見栄えが惹かれなかったので、写真を撮り忘れたようだ。)

五彩猫耳朵(五色猫耳麺)
これこそニョッキみたいな感じか。カラフルで、メニューによれば、「五色」とは麺の白、キクラゲの黒、タマゴの黄、トマトの赤、野菜の青を表すそう。優しい味付け、優しい食感。

不烂子(プランズ)
ジャガイモ蒸し麺という日本語の解説があったが、ジャガイモに小麦粉をまぶして一度蒸してから高温で炒めたらしい。ジャガイモの味がしっかりと残っていて、これだけでいいおつまみになる。程よい塩気がいい。

油拨刀削麺
いわゆる油そば刀削麺バージョンなのかしら。結構さっぱり食べられる。

振り返ってみてびっくりしたが、麺を5種類も食べていたのか。でも正直、もっともっと食べたかった。単純に満腹すぎてこれ以上は食べられないと判断し、泣く泣く諦めたという感じだ。ちなみにお隣のカップルは、お互いに麺と、青菜の炒めをオーダーしていたものの、女性は完食できていなかった。仕方ないよな、量も結構あるから。感覚的に全メニューの7割くらいが粉物というお店というわけで、最低4人くらいで来ると多くの麺類を試すことができるのでおすすめ。ここは絶対また来るぞー!

新ばし芸者が集うイベント「第99回 東をどり」@新橋演舞場


普段全くご縁のない花柳界にをのぞけるいい機会ということで、5月某日、初めて「東をどり」に行ってきた。大正14年に始まったというこのイベントは、来年で100回を迎えるイベントでもある。当日は、ビールの飲み比べ、シャンパン(しかもドンペリ)のブースあり、有名な日本酒を楽しめる升酒コーナーあり、東京吉兆、新喜楽、金田中、米村、わのふと言って、絶対に行くことはないだろう各料亭から集めてあつらえた「酒肴の折」や「玉子焼き六種類」....入場料以外にもお金が飛んでいく感じはあるが、祭りだと思えばいいか。

三味線などの音を生で聴けるのはいいなと思った。篠笛吹きは舞台上では演奏していなかったのだが、福原百之助にご指導を受けた方が吹いているとなると、それだけでテンションが上がる。あずま獅子のような、長唄や踊りの定番は芸者さん向けアレンジで可愛らしく、最後には口上ということで、20名ほどの芸者さんたちがずらりと並んで挨拶する場面は圧巻だった。唯一残った疑問は、口上の時にセンターで踊っていた方が総合演出を担当した尾上菊之丞氏なのか、それとも口上の振り付けをした西川鯉三郎氏なのか...まさか、花柳流乗っ取りお家騒動で話題になった4代目の孫、5代目花柳壽輔氏ではあるまいな。多分尾上菊之丞だと思うが自信がない。演技よく会場に撒かれた手拭い、欲しかったなぁ。

学生証を見せると、当日券のみ学割がきくそう。学生時代に東をどりの存在を知っておきたかった!
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