Theatre
母の日にお馴染みの團菊祭鑑賞、何年ぶりかな。 伽羅先代萩(めいぼくせんだいはぎ) 菊之助演じる政岡が初めて、茶道の手法で米を炊く「飯炊きの場」に挑むのが今回の目玉でもあるらしいが、初見の私にはそこへの感動というよりは、全体的な菊之助の存在感…
東北地方に伝わる郷土芸能、「鹿踊(シシオドリ)」は、食料としての獣への供養や感謝を芸能にしたものだという。プログラムに、宮沢賢治の「鹿踊りのはじまり」のことが書かれていて思い出したが、この「鹿踊り」と、この「鹿(しし)踊り」が同じことを指…
明治座の150周年記念歌舞伎に行ってきた。明治座の座元兼座頭役者は初世左團次だったそうで、午前の部でやった『大杯觴酒戦強者』(おおさかづきしゅせんのつわもの)は、河竹黙阿弥が初世市川左團次のために書き下ろした作品だったそうな。だから街中にも左團…
前回行ったのは、2015年の新春だったか。「新春浅草歌舞伎」は、若手だけで歌舞伎を演じて浅草の新春を盛り上げる行事だと勝手に認識している。 asquita.hatenablog.jp 身内が浅草歌舞伎の方を久々にみたいというので、こちらの公演につきあうことにした。第…
昨年11月に逝去した二世中村吉右衛門の一周忌追善興行として行われた「秀山祭九月第歌舞伎」に行った。二世吉右衛門が初代の俳名を冠した「秀山祭」をはじめたのが2006年9月だったそう。恥ずかしながら知らなかったのだが、今回の講演で、今の松本白鸚と吉右…
この日の番組は、復曲能「重衡」 (シテ:観世銕之丞)、狂言「鬼瓦」 (シテ:山本東次郎)、そして 能「三輪 白式神神楽」(シテ:鵜澤久)。残念ながら解説講座には間に合わなかったので、プログラムをみながらの鑑賞となった。「重衡(しげひら)」は、…
太宰治の小説「おさん」。これは、ものすごく端的にいうと、夫に浮気され、でもなかなか夫への思いが捨てきれない女性が一人称でその気持ちを語る物語だ。これに、能の「井筒」の「序の舞」のお囃子、さらには、アストル・ピアソラのSoledadが重なる。この「…
まったく知識のないまま、こちらの舞台を鑑賞した。キーワードは「梅若伝説」で、テーマは「母の子に対する無性の愛」。なんでも、梅若丸を人買い(!) にさらわれた母親が、子供を探して京都から隅田川にたどり着くが、そこで子が亡くなったことを知り、埋…
江戸絵両国八景 荒川の佐吉 佐吉は、ひょんなことからヤクザの世界に足を踏み入れたのだが、親分の娘が産んだ盲目の息子、卯之吉を育てることになった。この佐吉が、仲間の大工、辰五郎の手を借りながら男手ひとつで卯之吉を育てる過程で、情けなかった佐吉…
迫力にすっかり圧倒された舞台になった。腹筋を使って叩く太鼓をみることができたし、音の構成とともに太鼓の配置なども美しく変わっていくところがよかった。足で拍子をとることも含めて、太鼓の表現で本当に豊かなんだな。会場でいただいたパンフレットに…
こちらの公演のことを偶然知り、博多座に行ってきた。玉三郎の公演は歌舞伎座でみた阿古屋以来な気がする。 www.youtube.com平日昼の部14時スタートの回に行ったせいか、あるいは玉三郎ファンの層のせいなのか、お客は圧倒的に女性の観客が多かった。博多座…
番組は「神歌(素謡)」「茶壷(狂言)」「碇潜(かづき)」。会場について見ると、「体調不良により出演者が変更になる」とのお知らせが。でもその代わりのメンバーが豪華。とくに狂言では出演者がまるまる変更になる、という状況はコロナ禍ならではという…
巷の評判をきいて表題の作品を観にいった。 時は1970年12月20日、当時のコザでおこった"騒動"の夜に、外の騒ぎを感じながらhanaというAサインバーで繰り広げられる会話を通じて、hanaの店主である「おかあ」とその家族の状況が洗い出され、同時に当時の沖縄…
www.youtube.com 劇作家テネシー・ウィリアムスによる1945年の作品だというこの作品を鑑賞。日本で劇場鑑賞するのは、もしかして20年ぶりくらいだろうか...。舞台は1930年代のアメリカ中西部、ミズーリ州セントルイスにあるアパートの一室で、登場するのはそ…
以前鑑賞したお能の会のメモ。神歌(かみうた) 脳の中でも一番古く、翁と千歳と地謡だけによる素謡。能「鷺」 鷺乱という、白一色の装束を着て舞う舞は特別なものだった。その鷺が、帝に敬意を示す姿勢をとったので、爵位をもらった、という話らしい。仕舞…
今年初めての歌舞伎座における歌舞伎鑑賞だった。今回の二月歌舞伎のすべての講演の中で、一番興味があったのは玉三郎と仁左衛門による「神田祭」だったのだ。華やかそうだし木遣りとかきけるし、何よりめでたくていいなぁと思っていたのだ。ご縁あって行っ…
1974年に銀座につくられたレコーディングスタジオ、「音響ハウス」を愛する人たちのドキュメンタリー。映画に登場する、超有名ミュージシャンたちが、音響ハウスがいかに素晴らしいスタジオで、音に魔法がかかるのか、自分たちの言葉で説明していく。また、…
久々の歌舞伎公演。驚いたのが、ソーシャルディスタンスの徹底。花道の向こうにも二階にもだれも座らせていない状態になっていた。もちろん、掛け声もない。役者のモチベーションは、そして収入は大丈夫なのか。百歩譲って劇場は何らかの助成金とかがあると…
十三世片岡仁左衛門27回忌追善狂言と題して行われた二月歌舞伎、昼の部の前半だけ観に行った。舞台は醍醐天皇の御代平安時代、菅原道真を題材にした義太夫狂言だが、私は寺子屋くらいしか観たことはなかった。こちらの解説をみて理解をしたのは、今回をみた…
中村莟玉(かんぎょく)の襲名披露(ただし披露「狂言」なんだが…)を観にやってきた。 ●菊畑 鬼一法眼の館にて、ひそかに源氏の再興を目指して動く二人。その秘密を偶然、鬼一法眼の娘である皆鶴姫が知ってしまった、というストーリー。舞台の合間にいきな…
7月某日、ご縁があって浅草の東洋間というところで漫才を観ることになった。正式名称は「浅草フランス座演芸場東洋館」で、2000年くらいまではストリップ劇場としても興行をしていたという。また、ビートたけしさんがかつてエレベーター係をやっていたことで…
久々に観に行った歌舞伎は、大岡越前を題材にしたものだった。名奉行としてドラマでも有名な大岡越前が、さまざまな事件をだれもが納得のいく解決方法で裁いていくという話だ。ただし、今回この歌舞伎の舞台で題材に使われた「天一坊事件」については、実在…
歌舞伎の世話物、「与話情浮名横櫛」(瀬川如皐 作)を、串田和美氏の演出によりアレンジしたという「切られの与三」を観に行った。実はコクーン歌舞伎を観るのは初。何の前情報もなく楽しむことができた。主役は七之助が演じる与三郎、江戸の大店の跡継ぎだ…
三島由紀夫の「近代能楽集」という本がある。これは、三島がお能の持つ演劇可能性を追求した劇作品だ。これを実際に三島が能をよく観に来ていたという銕仙会能楽堂でやったらどうなるの?ということでできがったのが、今回の「葵上」+「弱法師」である。そ…
成田美奈子といえば、私は、「エイリアン通り(ストリート)」と「CIPHER(サイファ)」の世界にハマって、NYにあこがれたり絵ハガキセットを購入したりした記憶がある。が、その後の彼女の作品はあまり知らずにいた。でも、実は1977年にすでにお能を観に行…
第14回ユネスコ記念能に行ってみた。番組は、「葵上」、それに狂言の「因幡堂」。面白かったのは、シテ方5流(観世、金春、宝生、金剛、喜多)の女流若手能楽師が、同じ曲目を続けた上映したところかな。プログラムに法政大学能楽研究所の中司由起子氏による…
久々の能楽鑑賞。素人の感想をここに。 ■琵琶三秘曲―流泉・啄木・楊真操(岩佐鶴丈-楽琵琶) そもそも琵琶ってボディがふくよかなものと思っていたら、こんなにうすいものがあるんだね。調弦の関係で曲順に指定があったのだが、琵琶の調弦って大変なものなの…
国立劇場の50周年を記念した新春歌舞伎公演に行く機会があった。しらぬいものがたり? 原作の「白縫譚」をベースに作り変えたものらしいのだが、名前の地味さと裏腹に相当面白かった。 まずは菊之助演じる若菜姫が登場。シーンは、土蜘蛛の妖術を譲り受ける…
久々の歌舞伎、夜公演にウキウキだ。今回は中村橋之助が「八代目 中村芝翫 」を襲名するということで、中村芝翫ゆかりの演目が演じられていた。まずは歌舞伎十八番の「外郎売」。 主役であろう外郎売は尾上松緑さんだった。ちょっと今回やはり親とともに襲名…
きっと、原作をしていたら、もう少しストーリーの理解度が高かったのかもしれぬ。 2013年3月が初演だったようだが、演出は斬新だと思った。とくに江戸糸あやつり人形が出てくるあたり…。