母の日にお馴染みの團菊祭鑑賞、何年ぶりかな。
伽羅先代萩(めいぼくせんだいはぎ)
菊之助演じる政岡が初めて、茶道の手法で米を炊く「飯炊きの場」に挑むのが今回の目玉でもあるらしいが、初見の私にはそこへの感動というよりは、全体的な菊之助の存在感に圧倒された。目の前で我が子、千松が刺されるのに、足利家の跡継ぎ鶴千代の乳母として気丈に振る舞う姿は、母の日には特に辛いシーン。本当の親子がこんなシーンを演じるとなると、感情がますます入りやすかったりするのかな。そして冷静に考えて、毒を盛って殺そうとしたのに失敗したら証拠隠滅すり、というのはそこはかとない韓国の昼ドラマ並にエグい。
床下の團十郎演じる仁木弾正は、いくら團十郎が昼の部で活躍しているにしてもセリフはなく、これだけ?感が強いが、立つだけでサマになるんだからまあすごいということだろう。母曰く、顔は(團十郎が目指していたという)お祖父様に似てきた、とのことだ。
四千両小判梅葉(しせんりょうこばんのうめのは)
尾上松緑の富蔵がすごく良かった。昔見た時よりも「さ行」の発音が気にならないし、主役っぽい声の張りや姿、存在感が好きだ。熊谷土手の人情噺も好感度高く、梅枝のおさよの女っぽさが良い。牢屋敷の場は、当時本当に牢に入った経験者の話を元に作り込まれたらしく、囚人で埋め尽くされた舞台に華やかさはないが、不思議と魅力的だった。
今回、イヤホンガイドを久々に使ってみたらこれが非常によかった。ストーリーとしては二つともわかりやすい演目だったのだが、ストーリーの流れを邪魔することなく時代背景等の解説や浄瑠璃の歌詞も紐解いてくれるので、普通に鑑賞するよりも多くの情報を得られた気がする。今回、午前の部が華やかだったので、午後の部に誘われた時は正直がっかりしてたが(笑)、結果的に大満足だった。さらに、本来予約が必要なめでたい焼きもゲットできて、ますます大満足。
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