
松竹創業130周年と言うことで、天保4年に初演した作品を再構築したという演目。「表」である仮名手本忠臣蔵に創作の部分を付け加えたものを「裏」とし、現代に合わせた「裏」の創作をしたという忠臣蔵を鑑賞しに行った。見どころは明らかに夜の部の「團十郎のお子様が演じる幻想のおかると勘平」と「市川團十郎 宙乗り相勤め申し候」だったと思うが、昼の部も良かった。47士の姿はシルエットで少し拝む程度だったので、忠臣蔵ファンには物足りなかったかもしれないが。
四役早替わり...が見どころ。團十郎が由良之助、高師直、早野勘平、そして斧定九郎の4役を演じる。スターが逝去したりなんだりで人手不足の歌舞伎界において團十郎さんが一人でこれらクセの強い登場人物の役を演じることができるのは素晴らしい...という気持ち。團十郎の顔芸(K-POPで言うところに表情管理)もすごく、縁起物の「團十郎の睨み」を何度も堪能できたので、2025年は確実に良い年になるだろう。團十郎の睨みについては「刀剣ワールド浮世絵」というwebサイトに詳しいのでこちらに引用しておこう。

ただ、ちょっと忠臣蔵初心者に厳し買ったところがあるとしたら、敵も味方も團十郎が演じたところだろうか。高師直として権力を盾に威張りまくっていたと思ったら、今度は主君の塩冶判官に仕えた立場で、師直に敵意剥き出しにして仇討ちを誓う由良之助として登場する。お軽の父親から50両奪ってから猪に間違えられて殺されたと思ったら、今度は早野勘平にその50両を奪われて...早替わりなことも、どの役もさまになっているところもすごいのだけれども、ちょっと混乱してしまった。忠臣蔵初心者にはちょっと厳しい配役だったかもしれない。
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今回ちょっと気になったのが、塩冶判官の奥様、顔世御前役の大谷廣松さん。所作もお顔も美しく、梅玉さんと團十郎さんの間にいても全く引けを取らないいい存在感だと感じた。今後注目して行きたいと思う。