日本フィルハーモニー交響楽団 第767回東京定期演奏会@サントリーホール


バーミンガム交響楽団の首席指揮者兼音楽監督を務めている山田和樹氏がイギリス音楽プログラムを指揮するというまたとない企画。演目のうち知っているのはエルガーの「威風堂々第一番」のみ...それでも何も知らないよりマシかなぁと思っていたら、「交響曲第2番」についての事前レクチャーがあった。演奏会の前の週にセシオン杉並で開催された「オケのテイキはおもしろい」という作品講座でエルガーの人となりを学ぶとともに、エルガーがスコアに書き込んだという「汝、歓びの精霊よ」という詩とその精霊を示す主題の音を学んだのだった。するとどういうわけか、1時間くらいあるよく知らない交響曲をちゃんと寝ずに楽しむことができた。山田和樹氏のエネルギッシュな指揮っぷりも、飽きずに聴けた理由なのではないかと思った。

以下、等松春夫氏によるプログラムノートの抜粋。

行進曲「威風堂々」第1番ニ長調op.39-1 (エルガー

  • エルガーは実は1901年から1930年の間に5曲も行進曲を書いている
  • 1901年、ヴィクトリア女王の逝去に伴う社会ムードを払拭したかったということで書かれた曲
  • Pomp and Circumstance: きらびやかな武具に身を固めた騎士たちが出陣を前に続々と集まってくる様子の表現
  • 英国では第二の国家の扱い。トリオの部分は歌詞がついている。「希望と栄光の国」と呼ばれているそうだが、ぴったりだと思う。

こちらは動画付きのもの。
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ヴァイオリンと管弦楽のためのロマンス「揚げひばり」(V=ウィリアムズ)

  • ジョージ・メレディスという人の詩"The Lark Ascending"に触発されて、名ヴァイオリニストのために書かれた
  • 「揚げひばり」は俳句の春の季語で、まさに「舞い上がるひばり」のことなので、この邦訳タイトルになったらしい
  • 単なる自然讃歌ではなく、戦争体験をしたウィリアムズの平和への希求もあるのではないか、との解釈
  • こちらも「英国音楽の代名詞」のような作品とのこと
  • 独創ヴァイオリンも、途中に入ってくるフルートも、民謡風の旋律

周防亮介氏のソロヴァイオリン。周防氏は1678年製のニコロ・アマティというヴァイオリンを使っているそうだが、生演奏ではものすごく繊細な音で息をするのも憚られる感じであった。最後のヴァイオリンソロが圧巻。
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交響曲第2番 変ホ長調 op.63

  • エルガーは3曲しか交響曲を書いていない(未完成含む)
  • 第2番は、完成された最後の交響曲
  • 公には、故エドワード7世国王陛下(1910年5月に崩御)の思い出、ということになっているが、実は彼のミューズ(奥様ではない)、アリス・ステュワート・ワートリーへの想いもあるのではないか、と言われているとか
  • アリスは、国会議員の妻で、オフィーリアを描いた画家、ミレーの娘(!)らしい
  • 第一楽章からNobilementeという、エルガーがよく使う発想記号が使われている

「喜びの精霊」のテーマから始まり、精霊っぽい主題メロディが出てくるといちいち嬉しくなる。一方で第一楽章に「庭隅に渦巻く邪悪なもの」、第三楽章には「生きながら埋葬される恐怖」などと表現されるところがあ流所も、つい注目してしまった。第四楽章は、トランペットが原譜以上に長く吹いた音をエルガーが気に入ったため、譜面よりも長くBの音を吹く、なんていう所も認識できて楽しかった。
交響曲の全楽章を、一貫したテーマを感じながら聴いたのは、もしかしたら初めての体験だったのではないか。
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エルガーの代表曲に「エニグマ変奏曲」というのもあるそうなので、今度聴いてみたいと思う。あとは、水越健一氏のエルガーwebサイトにも目を通そう。
elgar.o-oku.jp