ガラスの動物園@博多座

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劇作家テネシー・ウィリアムスによる1945年の作品だというこの作品を鑑賞。日本で劇場鑑賞するのは、もしかして20年ぶりくらいだろうか...。

舞台は1930年代のアメリカ中西部、ミズーリ州セントルイスにあるアパートの一室で、登場するのはそこで暮らすウィングフィールド家。過去の華やかな暮らしに縛られる母・アマンダと、夢を持ちながらも家族のために倉庫で働く息子のトム、そして内気で足が悪いトムの姉、ローラが暮らすこの家に、ある日トムの同僚、ジムが食事に来た、というのが話の展開だ。タイトルとなっている「ガラスの動物園」は、ローラが心の拠りどころにしているガラス細工のことを指している。

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時代背景が古いので、娘と結婚すべき「青年紳士」に固執するこの母親の価値観やローラの内向きすぎる性格が一般的にどこまで理解されるかはわからないが、演劇としては楽しめる内容だった。後半、ジムがローラに対して自己肯定感をもっと高めて生きていくことを諭すあたりは、勇気をもらう人もいるのではないか。私があまりテレビを観ないこともあり、トムを演じた岡田将生は「リーガルハイ」以来意識していなかったが、まさか舞台で活躍しているとは知らなかったし、倉科カナがこんなに愛らしい声で生命力の弱そうな女性を演じられる技量があるとも知らなかった。そして、アマンダを演じた麻実れいは、さすが宝塚の貫禄。彼女の存在なくしてはこの舞台は成り立たなかっただろうな。

さて恥ずかしながらテネシー・ウィリアムスを知らなかったのでwikiで検索してみた。
テネシー・ウィリアムズ - Wikipedia

まさにこの「ガラスの動物園」は自分の生い立ちを反映させた作品なんだ、ということを理解したのだった。

そしてもう一つ。シェイクスピアの翻訳で有名な小田島雄志は、テネシー・ウィリアムスの代表作品も翻訳していることを知ったのであった。
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