四月第歌舞伎 第二部「江戸絵両国八景 荒川の佐吉/義経千本桜 所作事 時鳥花有里」@歌舞伎座


江戸絵両国八景 荒川の佐吉
佐吉は、ひょんなことからヤクザの世界に足を踏み入れたのだが、親分の娘が産んだ盲目の息子、卯之吉を育てることになった。この佐吉が、仲間の大工、辰五郎の手を借りながら男手ひとつで卯之吉を育てる過程で、情けなかった佐吉がどんどん成長していく姿を描いた話。真山青果という劇作家をはじめて知ったのだが、素晴らしい作品を残してくれたな。桜で満たされた舞台を背に、幸四郎がかっこつけて花道を去っていく姿にうるっときた。

義経千本桜 所作事 時鳥花有里
義経千本桜。これもまた桜の花とともに華やかな演目だった。途中で急に白拍子とか出てきて美しく踊るのだ。そして傀儡師は、どんどん面を変えて踊る姿も楽しむことができた。梅玉義経は鉄板として、鷲尾三郎を演じていた中村鴈治郎の踊り、好きだったなぁ。どんなバックグラウンドの役者なのかと思ってみたら、父は坂田藤十郎(四代目)、母は扇千影というサラブレッドであった。歌舞伎ってどうしても白鴎/幸四郎親子のような、花があって目立つ人にばかり目を奪われてしまうが、実力ある役者が大勢いるんだ、ということを改めて実感したのであった。