ヒンドゥーの神々の物語@福岡アジア美術館 アジアギャラリー

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ヒンドゥーの神々のイメージの変遷をたどる展覧会に惹かれて行ってみた。インドの神々といえば、私が知っているのは3神のみ。神様を数えるための単位って、人じゃないよね。神でいいのかな...ま、ともかく。

シヴァ:創造と破壊の神。という理解。成田美名子による漫画「CIPHER(サイファ)」の主人公である双子がサイファと「シヴァ」だったので、その名前を知った。

ガネーシャ:意味合いまでは知らず、「ゾウの外見をしている」ということだけ知っている。あの悪名高い新興宗教が出馬した際、駅前で象の被り物をしたオウムシスターズっていうのが被っていたのが「ガネーシャ」の帽子だったから。あとは、「夢を叶えるゾウ」という本も、表紙がガネーシャだったなぁ。Wikiでみると、「現世利益をもたらす神であり、富の神様として人気」らしい。単にかわいいからゾウを被っていたわけじゃないのだとしたら、例の宗教は...すごいな。

ハヌマン 「猿の外見をしている神様」だということを知っている。なぜなら...もしマヌーシュ・ジャズが好きだったら、ジャンゴ・ラインハルトの名曲"Anouman"こそが、この猿の神様を意味していることもご存知だろう。
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あと、ヒンディ語も解せぬまま、タイの空港でみたドラマ" Mahabali Hanuman "にハマってしまい、観ていたこともあったな...
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怪力、勇気、忠誠心そして不死を示す神で、孫悟空のモデルとも言われているそうな。

ヒンドゥ教では、「三神一体」ということで、「ヴィシュヌ」「シヴァ」「ブラフマー」という3神が中心となっているそうだが、この神様たちはそれぞれ伴侶がおり、かつ分身/化身(アヴァターラというらしい)がいる。たぶんこの分身たちが多過ぎてヒンドゥーを理解する上で、そして神様を見分ける上で妨げになっているのだろうか。

ヴィシュヌ神はとくに化身が多いらしい。もはや理解できないので、こちらをご覧いただくとして。
ヴィシュヌ - Wikipedia
印象的だったのは以下のアヴァターラだろう。
まずは、その妻でかつ美と富と豊穣と幸運の神様ラクシュミーの作品群。単に蓮の花を持っていることや4本の手も目立つが、鮮やかにデコレーションされた作品がたくさんあった。
そして、クリシュナも目立っていた。横笛(バーンスリーというらしい)を持つ姿、姿勢が良かったのかな。そういえばハーレークリシュナという新興宗教があったが、あれも歌い踊るものだったような。マツヤという第一の化身もいたが、たんに歌舞伎役者の尾上松也が思い浮かんでしまい気になった。よくみたら半魚人なのでこれも見分けがつきやすい。平山郁夫シルクロード美術館コレクションの中にあったヴィシュヌ神の作品をみて、アンコールワットの彫刻の中に乳海攪拌だったことを思い出した。

シヴァ神の特徴なんて考えてみたこともなかったが、首にコブラ巻いて、立っていたら片足上げて踊っている姿、座っている時は虎皮に座っている感じか。一方のシヴァの伴侶デーヴィーが変異したカーリーというのもインパクトがあった。なぜなら生首を持って子供を踏みつけにし、恐ろしい形相をしているから。

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この展示では500点もヒンドゥーの神様の作品が展示されており、その神々の説明も興味深かった。それこそ、なぜ彼女が生首を持っているのかとか、なぜガネーシャが象の頭なのか、どういう伝説があるのかといった謎も解ける仕掛けになっている。性に関するストーリーもなかなかおおらかで人間くさくて面白い。「正直ヒンドゥーの神様なんてどうでもいい」という方でも、キッチュなデザインの作品の数々に惹かれるのではないか。個人的には、インド輸出のために日本でつくられたマッチ箱のデザインが好きだった。こんなの売っていたら確実にコレクションしてしまうだろう。
match.or.jp

この知識を蓄えてインドやシンガポールヒンドゥー寺院に行ったら、もう少し旅が楽しく...なるだろうか。会期中、色々なイベントも開催中。私が行った時は、古典舞踊Bharatanatyamのパフォーマンスも観ることができた。