東京音楽大学 TCMオーケストラ・アカデミー 第16回定期演奏会@東京音楽大学 TCMホール

私が東京音楽大学 TCMオーケストラ・アカデミー のことを知ったのは、尾高忠明氏のこちらのインタビューだった。このアカデミーは、国内外のオーケストラで活躍あできる音楽家の育成を目指して2022年度に開講したもので、何よりも尾高氏が音楽監督を務めているという。
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指揮に出口大地氏を起用していることや、プログラムも含めて興味が湧いたので、記事の下にあるリンクをまんまとクリック...webマーケティングの超成功事例ではないだろうか。

それまで東京音楽大学のキャンバスがこんなに素敵で、中目黒エリアにあることも知らなかった。キャンパス内にDean & Delucaがある!ということにもびっくりしたけれどだだっ広くはないが緑が程よくあり居心地の良さそうなキャンパスだった。ホールもちょうどいいサイズで観客席は階段状になっており、舞台との距離がとても近い。今回のプログラムはチェコ国民学派(19世紀後半から20世紀初頭にかけてチェコスロヴァキア地方で生まれた音楽運動で、民族的アイデンティティの確立と文化的独立を目指していた)を代表する二人の作曲家を取り上げたとのこと。両方とも有名な楽曲だったこともあり、楽しむことができた。


以下、プログラムノートから。

スメタナ 「わが祖国」より「モルダウ(Vltava/Moldau)」
「我が祖国」の第二曲。これは学生時代に教科書にも掲載されていたくらい有名な曲だが、例のメロディは「ヴィシェフラド」の主題というふうに呼ばれており、そのヴィシェフラドとはお城の名前らしい。
弦楽器の部分で演奏する主題ばかり印象に残っていたが、あれは「一筋の大河」になったところとのこと、モルダウ(ヴルタヴァ)の源流を示すというフルート2本で始まり、クラリネットが重なってから弦楽器で盛り上げているところまで、川の流れとしてちゃんと捉えることができた。

ドヴォルザーク 交響曲第8番 ト長調 Op.88
ドヴォルザーク交響曲は、7番までドイツっぽい仕上がりで9番はアメリカの影響が出ているのに、8番だけはスラヴ色が強いものらしい。ここには、アカデミー3期生の柿崎氏が書いた楽章ごとの解説を転機しておく。
1. Allegro con brio
自由なソナタ形式。冒頭から民族的な哀愁漂う旋律が朗々と奏でられ、フルートが急激に世界を広げる。繰り広げられる多彩な旋律にはメロディ・メイカーとしてのドヴォルジャーク(ママ)の才が遺憾なく発揮されている。

2. Adagio
小鳥の囀りや踊りのリズムなど多くの表情が交錯する緩徐楽章。

3. Allogretto grazioso-Molto vivace
民族的なワルツ風の舞曲。中間部は喜劇劇「頑固者たち」からの引用である。

4. Allegro ma non troppo
変奏曲風の自由なロンド形式
一見気まぐれとも見える気分の移り変わりはまさにスラヴ的であり、様々な表情を見せながら熱狂的な終幕を迎える。

以上

そうか、弦楽器とトロンボーンのハーモニーが効いているあの第一楽章、あれを民族的なフレーズと捉えるといいのか。フルートが湖畔の朝みたいな爽やかな感じで切り開いてくる前も結構好きだなぁ。あとは3楽章のワルツが印象に残っている。1楽章で出てきたあのテーマがまた4楽章で重なってきて、ものすごく厚みが出てきて終わるっていうのがまたいい。4楽章はトランペットのソロから、チェロとヴィオラがガシガシ演奏していていく流れがカッコよかった。あと、コンミスやられていた方の仕切りというか空気感が間近でみられて、気分が良かった。もちろん、彼女のソロパートも素晴らしかったです。

芸高のオーケストラを以前みる機会があったが、それに比べると人数は50名くらいだから半分以下なのか。それなのにこんなに深みのある演奏で楽しませていただき、大満足の演奏会だった。次回はぜひ、アンコールも準備していただけるといいなぁなんていうのはわがままかしら。この若き才能がどこのオーケストラで活躍するようになるのか...今から楽しみだ。