ブラジルのメロディメーカー等と称されるアーティスト、Ivan Linsのライブに行ってきた。私が日本で彼のライブにきたのは10年ぶりくらいだろうか。今回のメンバーには、シヴーカ、ジャヴァンとの共演経験があるドラマ、テオ・リマが入っており、彼のプレイには特に拍手が大きかった気がする。
メンバーリスト
Ivan Lins(vo,key)
Josue Lopez(sax)
Fernando Monteiro(g)
Nema Antunes(b)
Marco Brito (key)
Teo Lima(ds)


Ivanは、残りのメンバーが演奏しながら舞台をあたためていたところに、どっぷりと登場してきた。いいねぇ、いい雰囲気。Ivanは穏やかで楽しそうだった。80歳とは思えない、瑞々しい雰囲気を讃えている。"Orozimbo e Rosicler"という曲なのか、トロンボーンを吹いている動作をしながら、その音を模してスキャットを入れてきて、微笑ましい。有名どころでは"Comencar de Novo"と"Dinorah, Dinorah"かな。出してくるの早い!と思ったのだが、レパートリーが尽きることはないので問題なし。Dinorah Dinorahは、ブルーノート特製アーティストカクテルの名前にもなっていただけあり、一番有名な曲なのかもしれない。客席に向かってサビをコーラスするように求めてきて、みんなで歌う空気のあたたかさが好きだった。もう一曲コーラスを一緒にした曲があったが、あれは何だったかな。"Love Dance"は、Ivan ではないバージョンで好きな曲だったが、彼が歌うとこんな雰囲気なんだなぁとうっとり。すごくロマンチックな歌詞の曲だよね。大好きなピアニスト、Gilson Peranzzetta との共演版を聴きながら家で曲を反芻している。
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もう一つ楽しかったのが、アンコールで出てきた後おもむろに始まった"Madalena"なのだが、多分何かタイミングがうまく合わなかったか何かで、Ivanがバンドの演奏を止めて、仕切り直し。"Sorry----"みたいな曲を速攻で作って歌ってきたところに、すかさずバンドが合わせてくる楽しさ。Madalenaって改めて本当に難しい拍子なんだなぁ。さらに、演奏の後半はWeather Reportの"Birdland"を重ねて入れてきて、なんて楽しいの! もうお客さん、うっかりBirdlandのフレーズ歌っていたよ。
個人的に嬉しかったのは、私が大好きだった台湾のアーティスト、林憶蓮(Sandy Lum)へ提供した楽曲を披露してくれたところだ。この曲が始まった時、「あれ、これってIvanの曲だっけ?」とちょっと混乱しながら聴いていた。なぜなら、私が知っているこの曲の歌詞は、台湾原住民プユマ族のチャントが入っているバージョンだったのだ。帰宅してCDを確認したが、確かにIvan Linsの作曲した曲だと判明した。まさか彼の生歌でこのメロディが聞けるとは。
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彼がステージから降りる際、ちょっと握手する機会に恵まれた。その手はみずみずしく柔らかくて、ちょっと冷たくて。勝手にIvanの優しさのようなものを感じてしまった。ライブ、楽しすぎた!