ヤギと男と男と壁と


(2009年、グラント・ヘスロヴ監督、米=英、The Men Who Stare at Goats)
ユアン・マクレガー演じる新聞記者のボブは、妻が去っていき傷心の日々。そんななか、ある取材をきっかけに「見つめるだけでヤギを殺すことができる、軍の凄腕超能力者」の存在を知る。そして、戦争取材でイラク入国待ちをしていたホテルで、その男リン(ジョージ・クルーニー)に運命的な出会いを果たし、ともにイラクに赴く。
ロードムービーとはいえ、シーンはほぼ砂漠地帯…その道中、ボブはリンから、愛と平和のパワーで新しい能力を開花させようと取り組む、米軍の超能力部隊・新地球軍のことをきくのだった。
陸軍小隊長だったビル・ジャンゴは、ヒッピー修行を経て、この部隊を創設するに至り、各人の能力をユニークな形で引き出す訓練をしていたのだが、ある事件をきっかけに、新地球軍はおかしな方向へ進んでいった…。
途中、イラク国内での銃撃戦のシーンがあったが、銃撃がはじまるきっかけがあまりにもみっともなくて驚いた。でも戦争のきっかけなんて案外こんなものなのだろう。イラク人と米国人がそれぞれの国の人間のとんでもない行為を、代表として詫びるシーンが印象的だった。あと、新聞記者ボブ。本当、ジャーナリズムの未来って大丈夫なの?(笑)というくらい情けない人物に描かれていて、笑ってしまった。
タイトルから「鮫肌男と桃尻女」を思い浮かべ、勝手に邦画だと思っていたら、想像とまったく違った1本。ポップでばかげているなかで、ちょっぴりシリアスなメッセージが含まれている。すごく良くできた映画だった。