肝心の子供/眼と太陽

肝心の子供/眼と太陽 (河出文庫)

肝心の子供/眼と太陽 (河出文庫)

2009年に「終の住処」で第141回芥川賞を受賞した作家、磯崎憲一郎芥川賞受賞前の作品2本を収めた単行本。
"眼と太陽"はあまり感情移入というか理解をきちんとしないまま読み終えてしまった印象だ。文学的には、磯崎さんらしい、という評価になるのだろうが。
一方の"肝心の子供"については、ちょっと変わっていて面白かった。そもそも、テーマがブッダとその息子ラーフラそして孫のティッサ・メッテイヤであるところがすでに変わっている。そして、ブッダも、その息子である「束縛」という名を持つ息子も家出したり修行の合間に女をつくるなど、かなりの人間臭さを残している(というか神聖さを欠いた)。
最終的に孫だけが「悟り」に到達したのかな。
読みやすい上に深い話。