わたしの外国語学習法(ロンブ・カトー著、米原万里訳)

わたしの外国語学習法 (ちくま学芸文庫)

わたしの外国語学習法 (ちくま学芸文庫)


大学で物理と化学を専攻、自国からほとんど出ずして5カ国語の同時通訳、10カ国語の通訳、16カ国語の翻訳ができるようになった、ハンガリー女性の外国語学習法を学べるのがこの本だ。外国語学習をするうえで勇気づけてくれるだけでなく、言語学の見地からためになる話をたくさん得ることができる。

たとえば、英語=ロマンス語×ゲルマン系言語でできているため、なかにはひとつのことを示すのに二種類の単語が存在するものもある。たとえば、子牛を示す場合、動物そのものを示す"calf"と、その肉を示す"veal"という単語がある。これは、ゲルマン系が動物の世話をしていたため、動物そのものを示す場合はドイツ語Kalbが変化してcalfが生まれ、食べる方はもっぱらノルマン系だったので、フランス語veauの派生であるvealが生まれたとか。こういう話を総合すると、「フランス語を勉強してから英語力が上がった」という話も説明がつくというものだ。

もうひとつおもしろかったのが、学んでいる外国語の語彙面を自己採点するための指標。まずは以下の単語を学んでいる外国語に翻訳してみたうえで、できた数に応じて採点をする。
Ⅰ(各1P)/月、買い手、無料の、広い
Ⅱ/(各2P)降雨量、楽しむ、突如、感謝の
Ⅲ/(各3P)麦わら、促進する、堅苦しい、実質的
Ⅳ/(各4P)銅、(刈取の後)落ち穂拾いをやる、頑固に、意気盛んに

40点満点で、10点で評価2、20点で評価3…と評価していって、自分のだいたいのレベルがわかるというわけ。この本はキープしておいて、今後外国語学習の中で挫折したときに読んでみようと思う。