石の猿(ジェフリー・ディーヴァー著、池田真紀子訳)

石の猿〈上〉 (文春文庫)

石の猿〈上〉 (文春文庫)


石の猿〈下〉 (文春文庫)

石の猿〈下〉 (文春文庫)


リンカーン・ライムシリーズを久しぶりに読んだ。今回は、中国の移民船にまつわる事件がテーマ。夢中になって週末から読み倒した。
この本のおもしろさは、登場人物の大部分が、何か闇を抱えていて、それを内に秘めながら事件解決に臨むところ。そして、めくるめく展開の速さ、かな。
今回は、中国系の犯人も文化大革命で遭遇した事件をきっかけに、黒社会に染まっていったとの設定になっている。そして、移民するそれぞれの一家にも、世代間ギャップや親子の確執など、普通の家庭にあるような問題が見え隠れして、物語のいいエッセンスになっている。
ある人が死ぬ間際に、リンカーン・ライムの才能を確信して「微細証拠物件」を残すところなんて、なんとも粋でいい。最後まで目が離せないおもしろさ。