(1995年、フランス・ドイツ・ハンガリー、エミール・クストリッツァ監督)
何年ぶりだろう? この映画を観たのは。
紛争が絶えないセルビアが舞台。マルコ、クロ、そして彼らが恋い焦がれる女優のナタリア。レジスタンスの名の下に地下の要塞のようなところで武器製造をしながら暮らし始めた人たちがいた。しかし、その暮らしには大きな陰謀があって…。
そもそも、巨大な地下空間で営む暮らしというのがすでに幻想的であり、かつクロもマルコも短絡的で、登場人物も全体的に滑稽なので、ついつい戦争がリアルであることを忘れてしまう。が、実際の戦渦のユーゴの映像なども使われていて、はっとさせられる。
花嫁のシーンは昔から妙に印象に残っていたが、結論は案外覚えていなかった。空中で舞う新郎新婦、首つり自殺でゆらゆら揺れるイヴァン、そして水の中で泳ぐ登場人物…場面にみられる浮遊感が印象的。でも、イヴァンの終盤の言葉にはっとさせられる。国が亡くなるって、すごいことなんだよね。ましてや愛していて守ろうとした国が亡くなる時の衝撃といったらすごいものだろうな。
使われているジプシーブラスが脳内を駆け巡る。今日は興奮して眠れなさそうだ…。
エミール・クストリッツァ監督作品 『アンダーグラウンド』