ユーゴ紛争 多民族・モザイク国家の悲劇

ユーゴ紛争―多民族・モザイク国家の悲劇 (講談社現代新書)

ユーゴ紛争―多民族・モザイク国家の悲劇 (講談社現代新書)


先日、映画アンダーグラウンドを観て、ふとこの本を読み返したくなった。千田先生がユーゴ紛争中にスロベニアを拠点に取材をして書いた本であり、セルビアサイド、ムスリムサイド等、あらゆる民族の側面から、そして実在する人物へのインタビューを通じて、この紛争を描こうとしている。諸外国ではセルビアを悪とした見方が多かったなか、ある意味貴重な視点を持った本といえる。
旧ユーゴは、その複雑な成り立ちを表現する言葉として「7つの国境、6つの共和国、5つの民族、4つの言語、3つの宗教、2つの文字、1つの国家」という有名なのがあるが、少なくとも外見だけでは区別が付かないといわれている。が、この本で面白いと思ったのが、音楽(流行歌)で区分けする方法だ。曰く、セルビアボスニア・ヘルツェゴビナ、モンテネグロ、マケドニアなど、旧オスマン帝国エリアは、「演歌地帯」で、一方、スロベニアクロアチア、つまり旧ハプスブルグ帝国エリアは、演歌地帯ではないそう。スロベニア民謡は「アルプス民謡」、クロアチアあたりは、ハンガリー風もありつつ、「カンツォーネ文化圏」という分け方をしていた。
…私はラップなんかに目がいっていて、こういう視点はなかったなぁ。
ユーロビジョン・ソング・コンテストという、EUの各国代表が集まる音楽コンテストがあるのだが、旧ユーゴからコンテストに出場したアーティストの映像をまとめたものを見つけたが…あまり雰囲気がよくわからないまま終わった。当然か…。