- 作者: 村林益子
- 出版社/メーカー: 筑摩書房
- 発売日: 2012/03/07
- メディア: 文庫
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きものの伝統的に正しい着方から扱い方、たたみ方までを丁寧に解説した本。唯一残念だったことは、著者が悲観的すぎであること。昨今のきものプロトコルが乱れているのはよく理解できるけれども、昨今の着付け師や着付け教室の先生を批判しすぎ…さすがに1ページ、いや小見出しごとに今どきの着方や着付け師に対する嘆きが出てくるとなると、ちょっとやりすぎ感というかあまりいい気分ではない…。
月日というのはときに伝統を変えてしまうものであり、ある程度は受け入れないといけないのではないか、プロこそ妥協点を見出してもいいのではないかと思うのだが。それに、現在の着付け師や着付け教室の先生方が、きもののブームを作り上げたというのもまた真実、廃れるよりもよほどいいと思ってしまう。
まあ和裁の達人としていわばきものの英才教育を受けてきた人には、気になることだらけ…というのもよくわかる。その不満をもう少しうまーく、それこそ太陽のように伝えてもらうともっといいなぁ、と思った。
著者のきもの愛というのは深く慈しみ深い。きものや帯を大切にするにはどうすればよいのか、よくわかった。私もかつて着付け教室にて、お太鼓の帯を一度結んで固定させるような着付け方法を習ったが、あれは帯のためにはまったくよくないな、ということを改めて認識した。祖母から譲り受けたきものも帯もいいものばかりなので、大切にしようと改めて思った。